六点鐘 208号
令和6年7月20日
学びの充実に向けて
校長 渡部 透
熊の目撃情報や熊との遭遇による被害が連日、報道されています。
昨年五月に新型コロナウイルス感染症による活動制限が緩和され、学校での学習活動がようやく以前の形に戻り始めたように思われました。しかし、猛暑となった昨夏は、熱中症の対策から、屋外での活動が制限されました。また、秋には市街地で熊が頻繁に目撃され、人身被害も報道されるようになりました。こうした新たな要因による活動制限にやるせなさを感じました。
今年度もすでに各地で熊が目撃されています。屋外での様々な活動に影響が出始めており、5月30日、31日に行われた「小・中学部野外活動」では、岩城少年自然の家付近で熊が目撃されたため、子どもたちが楽しみにしていた野外での活動の一つを屋内の活動に変更しました。熊との遭遇リスクを避けるための必要な措置でありましたが、とても残念なことでした。猛暑や熊の出没、感染症等のリスクによって学習を中止したり、制限したりしなければならない状況はこれからも起こると思われます。しかし、安易に学習活動を止めるのではなく、どのようにしたら安全を保って学習活動が行えるかを検討し、児童生徒の学習経験や生活経験を豊かにするよう取り組んでいきたいと思います。
さて、令和6年度は幼児児童生徒15名でスタートしました。10年前の平成26年は30名在籍していましたので、ちょうど半数ということになります。幼児児童生徒数の減少は本校だけではなく、全国の多くの盲学校(視覚支援学校)が同じ課題を抱えています。インクルーシブ教育システムの推進などもあり、今後も在籍者数が増加していく可能性は低いものと思われます。しかし、本校は発達の早期に視覚に関する専門的な教育を受けることができる学校であり、視覚障害の状態に応じた専門性の高い指導が準備されている学校であるということを伝え、認知されるよう努めていくことはこれからも必要であると考えます。学校規模は縮小傾向にありますが、これまでに蓄積されてきた専門知識や技能、経験の維持・継承に加え、日々革新されるICT機器の活用についても、知識と技術を更新していくことが求められます。
学校教育を取り巻く環境や社会状況の変化は、学校に大きな影響を与えていますが、幼児児童生徒が生き生きと充実した学びができるよう学習環境の整備と指導・支援の一層の充実に取り組んで行きたいと思います。
新入生紹介
中学部での生活
中学部 湊 愛唯香
私は中学部に入学してから、登校するときに白杖を使っています。これから使い方を覚えて、街中を歩きたいです。そして自分でできることを増やしたいです。まずは、自分一人で髪を結べるようになりたいです。授業では、実験や工作が好きなので、理科や美術をがんばりたいです。
明るく元気に周りの人と仲良くして、楽しい学校生活にしたいです。
STEP UP 新たな自分に向かって
高等部普通科 鈴木 稟々果
高等部への入学は、期待よりも緊張の方が大きかったです。それは、これまで憧れ、自分よりずっと大人に見えた高等部生になって、やっていけるか、不安があったからです。
実際に、高等部の生活が始まると、新しい教科にも慣れ、毎日を楽しめるようになりました。今考えていることは、「いろいろなことに挑戦したい」ということです。自分の可能性を広げ、この3年間で進路を定めたいと思います。新しい自分に変わっていくために、一歩一歩前進していきます。
新たな自分になるために
高等部専攻科保健理療科 M・T
視覚障害者となり見たいものを満足には見ることができなくなり、やりたいことが減りました。車の運転ができないことはとてもショックです。失った資格もあります。
けれども、これからも生活をしながら生きていかなければなりません。そのために新たな資格を得て仕事ができる術を身に付けたいと思い入学を考えました。
諸先生方よろしくお願いします。
課題を感じて克服していく過程を楽しもう
高等部専攻科理療科 K・K
昨年1年間は生活情報科で、生活に必要なことを学んできました。人体に関心があり、また、社会に出るために資格を取りたいと思い、理療科に入学しました。実際にやってみると、勉強、生活など、さまざまな課題があると感じています。それでも成長過程と考えて、理療師を目指して取り組んでいきたいと思います。
手札を増やす
高等部専攻科生活情報科 佐藤 祥太朗
今年度、生活情報科に入学して頑張りたいことは、白杖での歩行と、PCの使い方です。
ブレイルメモや周辺機器など、便利な物の使い方を身に付けたいです。歩行では、基本動作を体に染みこませて、安全に地元のコンビニまで行くことが目標です。
機器の操作や歩行の知識を広げていけたら、良い学生生活を過ごせると思います。
転入生の紹介
高等部でやりたいこと
鈴木 萌那
私は高等部2年で、資格を取得できるように頑張りたいです。情報系や簿記等、就職や仕事に役立つようなものを2年生のうちにとっておきたいと思っています。また、他にやりたい、取得したいものが見つかったら、進んで挑戦したいと思います。
校内弁論大会 5月16日
一人一人の、思いを言葉に…
今年度は3名の弁士が登壇しました。例年より少ない人数ながらも、一人一人の等身大で前向きな語りに聴衆は大いに共感し︑笑いや感嘆の声で会場を熱く盛り上げました。
最優秀賞には、本校入学までの思いの変化や、今も続いている挑戦の日々を爽やかに振り返った高等部専攻科保健理療科2年若林雅子さんの「私の挑戦」が選ばれました。また、優秀賞には中学部1年湊愛唯香さんの「中学生になった私」が、奨励賞には高等部普通科1年鈴木稟々果さんの「夢を現実にするために」がそれぞれ選ばれました。(加藤 しお子)
第41回東北地区盲学校文化・体育大会 6月19日〜6月20日
大健闘!
弁論大会には、校内弁論大会で代表に選出された中学部1年湊さんと、高等部専攻科保健理療科2年若林さんの2名が臨みました。今の自分が伝えたいことについて、具体的なエピソードや気持ちをユーモアたっぷりに発表しました。丁寧な言葉で紡いだ弁論は、会場でも大いに注目され、聴衆を惹き付けました。
終了後、弁士をはじめ会場で応援していた各校の生徒は、宮城県立視覚支援学校が企画したゲームで交流をして、新たな出会いに笑顔があふれました。
2日目の陸上競技大会には、中・高等部生徒全員11名が出場しました。4月から練習を重ねた種目でのそれぞれの目標達成に向けて、気合い十分に臨みました。競技前は緊張から不安な様子も見られましたが、いざ競技が始まるとみんな練習以上のパフォーマンスを発揮し、笑顔で大会を終えることができました。
2日間を通して中・高等部の生徒が行動を共にし、助け合い、絆を深める貴重な経験となりました。(坂本 由起子・今井 理)
小中野外活動 5月30日~5月31日
五感を使った2日間 岩城少年自然の家
小学部3年生~5年生と中学部1年生の4名で野外活動に行きました。
1日目はピザを生地から作り、一人一人がオリジナルのトッピングをして食べました。炭火で焼いたピザは、生地がサクサクしていることやいい香りがすることなど、トースターとの違いに気付き、友達と自分のピザの食べ比べをしました。夜は「かがり火ファイヤー」でこれから頑張りたいことの誓いを立て、火の神様とスタンツを楽しみました。
2日目は学級対抗フロアカーリング大会を行い、児童生徒が担任と一緒に作戦を立てて競技しました。さらに、ボルダリングでは、どの石に手足をかけるか考えながら全身を動かし、気持ちの良い汗を流しました。
「自分のことは自分でやる」「友達と協力する」「みんなと一緒に行動する」など、目標に向かって精一杯活動した四人。いつもは一人の学級で過ごす4人ですが、友達と協力して、五感を使い、活動する楽しさを味わうことができました。(佐藤 加奈子)
路線バス乗車体験学習 5月23日
路線バス車内の探検と安全な乗降の仕方の発見
秋田中央交通のご協力のもと、最新型の路線バスを使って乗車体験学習を行いました。整理券や運賃箱、降車ボタン、行き先表示など、バス全体の構造を確かめたり、インターホンや交通系ICカードを体験したりしました。また、実際の路線バスの乗降をイメージし、白杖等で足元や周囲の安全確認をしながら移動歩行の学習をすることもできました。
日頃の学習を生かして単眼鏡を使って運賃表を見たり、校地内のバス停を使って実際の乗車体験をしたりすることもできたので、これからの校外学習や生活場面でも生かしてほしいと思います。(落合 久貴子)
白杖歩行・生活サポート講習会 6月8日
行ってみよう秋田駅!やってみよう調理!
秋田山王ライオンズクラブと共催のこの講習会は、見えにくい・見えない人の外出の機会や交流を広げることを目的に行っています。今回は、5名の当事者を含む27名が参加しました。
午前は、手引き歩行を基本に、路線バスに乗って秋田駅に行きました。JRの職員に教わりながら音声や点字などを確かめて券売機の操作を体験したり、秋田駅東西自由通路に設置されている触地図に触れ、秋田駅等の全体像を確かめたりしました。
午後は火や包丁を使わない調理活動を行いました。ねぎ塩豚うどんと豆もやしのナムルを作る中で、計量の方法や安全に調理できる手掛かりを知っていただくことができました。
できる工夫をつかみ「やってみよう」と思う気持ちの変化が感想などに表れていて、充実した会となりました。(落合 久貴子)
解剖実習見学 6月13日・6月27日
理療師になるために 高等部専攻科保健理療科・理療科
秋田大学医学部のご厚意で解剖実習見学を行いました。学校で「解剖学」の授業を通して模型に触れている生徒たちですが、イメージできていないこともたくさんあります。人体についてより一層いろいろなことを知り、充実した時間を過ごすことができました。理療師を目指す生徒にとってのこの度の貴重な体験を、今後の患者様への施術に役立ててほしいと思います。(水谷 亨)
PTAプランター花植 4月29日
プランター花植えを終えて
PTA活動の一環として、児童・生徒と保護者が協力しながら、1人1つのプランターに花植えを行いました。ベコニア、マリーゴールド、ペチュニアの中から好きな苗を選び、児童生徒が慎重に植え付ける姿が微笑ましかったです。保護者の方々も、協力して作業を進めました。
植え終えたプランターを見て、皆さんは満足そうな様子でした。それぞれの個性が表れたプランターが、学校に明るい活気を与えているように感じました。
これからもこのようなPTA活動を通じて、学校をより良い場所にしていけたらと思います。(PTA会長 湊 友加里)
後援会だより
後援会費を納入いただきありがとうございました。
赤坂 務・照井 真紀子・佐藤 カツ子・簾内 秀子・齊籐 直子・清水 勇次・小玉 淳子・勝田 光明・堀内 真理子・中村 信弘・小林 三郎・畠山 亨・樋渡 実由梨・田村 雅博・中田 秀樹・佐々木 仁・今野 三芳・阿部 滋子・佐藤 菜穂子・品川 裕子・神田 英男・豊嶋 俊一・進藤 典英・三浦 知男・伊藤 博子・高橋 賢一・おのば眼科 徐 魁煒・中村 裕・二田 富義・栄田 優子・大野 孝助・大日向 邦彦・大山 美香・須藤 和彦・三森 久美子・高嶋 俊雄・矢部 文康・髙橋 ひな子・山下 幸子・沢石 哉子・長崎 富久夫・成田 恵美子・加藤 繁・石崎 修一・小坂 進・渡部 とも子・船起 慎一・木村 俊雄・向川 進・軽部 和夫・出町 京子・原田 金作・佐藤 憲一・飯村 人美・長崎 雪子・三熊 勝・工藤 富士夫・伊藤 茂美・五十嵐幸子・永澤 猛・後松 千恵・髙橋 斉・兎澤 信・荻原 雅子・佐々木 富士男・坂本 香織・赤川 吉夫・妹尾 弘・角崎 裕子・伊藤 博・佐藤 敦・煙山 貢・富樫 一男・髙田 富貴子・木村 若子・渡邊 明・田中 玲子・五十嵐 昌司・諸岡 美佳・佐藤 玲子・斎藤 明子・煙山 満・丹波 久美子・米田 満美・佐々木 麻理奈・冨士盛 亜紀・加藤 幸一・小川 信夫・菅野 泰寛・原田 敬・伊藤 友紀・石川 登恵子・内藤 聡子・佐藤 友紀子・泉 良昌・渡部 史子・吉澤 真由美・桧山 環・根本 津満子・佐藤 夕美子・県営南ケ丘住宅町内会・佐々木 奈穂子
注:順不同、敬称略
5月末の入金分まで掲載
職員異動
退職
教諭 二田 富義(暫定再任用期間満了)
転出
教諭 泉 良昌(栗田支援学校へ)
教諭 内藤 聡子(角館高等学校定時制課程へ)
教諭 佐藤 友紀子(秋田きらり支援学校へ)
寄宿舎指導員 吉澤 真由美(大曲支援学校へ)
寄宿舎指導員 桧山 環(能代支援学校へ)
主査 渡部 史子(支援学校天王みどり学園へ)
転入
教諭 佐藤 加奈子(能代支援学校より)
教諭 佐藤 あゆみ(栗田支援学校より)
教諭 大滝 陽平(ゆり支援学校より)
寄宿舎指導員 金子 聡子(能代支援学校より)
寄宿舎指導員 加藤 郁恵(栗田支援学校より)
事務長補佐 佐々木 悠子(教育庁福利課より)
寄贈
ありがとうございました
網膜投影カメラキット「DSCHX99RNVkit」
ソニー株式会社様 株式会社QDレーザ様より
栄光の記録
秋田市教育委員会主催 第68回よい歯のコンクール
ポスターの部
秋田市歯科医師会会長賞
小学部5年 鎌田 夏帆
第41回東北地区盲学校文化・体育大会 宮城大会
中学部女子
100メートル
第2位 湊 愛唯香
ジャベリックスロー
第1位 吉田 咲良
第3位 湊 愛唯香
高等部男子
100メートル
第1位 佐藤 祥太郎
1500メートル
第2位 鈴木 悠人
立ち幅跳び
第2位 佐藤 祥太郎
走り高跳び
第3位 M・T
ソフトボール投げ
第2位 Y・R
高等部女子
100メートル
第1位 鈴木 稟々果
100メートル円周走
第1位 鈴木 稟々果
走り幅跳び
第2位 鈴木 萌那
ジャベリックスロー
第2位 若林 雅子
男子4×100メートルリレー
第2位
令和6年度 冬季休業までの主な行事予定
8月
26日(月曜日)二学期始業式
9月
12日(木曜日)敬老マッサージ日
13日(金曜日)特別支援学校総合体育大会日
25日(水曜日)~27日(金曜日)校外臨床実習
26日(木曜日)~27日(金曜日)高等部宿泊学習
10月
12日(土曜日)秋盲祭
30日(水曜日)~11月1日(金曜日)中学部修学旅行
11月
14日(木曜日)~15日(金曜日)小学部修学旅行
12月
13日(金曜日)小・中PTA日
25日(水曜日)二学期終業式日
26日(木曜日)~1月13日(月曜日)冬季休業
お悔み
学校歯科医 石川 和夫 様
令和6年6月13日ご逝去
平成2年から、長きに渡って本校幼児・児童・生徒の健康管理にご尽力いただきました。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。
編集後記
満開の桜、総勢15名でスタートした春。新たな出会い、仲間と力を合わせ、多くのことにチャレンジ!
季節は夏に移り変わり…蛙の合唱。暑い夏になりそうな予感…。夏を楽しめることにチャレンジ!(畠山 尚子)