六点鐘 209号
2024年12月25日
地域社会に向けて
教頭 中村 素子
「なわとびが連続でとべるようになった」「ラジオでリクエスト曲をかけてもらった」「1人で買い物に行けるように歩行の力を付けたい」「志望校に合格する」「鍼を上手になるぞ」「今よりももっと幸せな生活を実現するために努力をする」
これは、10月に開催した秋盲祭のメイン会場、体育館入口を彩った星型カードに記された、本校児童生徒のメッセージの1部です。小学部児童から高等部専攻科の成人生徒まで計15名の「うれしかったこと」「がんばりたいこと」が集まったそのコーナーは、私にはとても輝いて見えました。一人一人の思いや願いが改めて伝わってきて、胸が熱くなる思いでした。来場いただいた皆様にも、ステージ発表やコーナー発表とともに、児童生徒のストレートなメッセージが心に響いたのではないかと思います。
全県の特別支援学校の中で在籍人数は最も少ない本校ですが、幅広い年齢層の児童生徒がお互いを尊重し合いながら、自分の夢や目標に向かって学んでいます。教育活動としては非常に幅広い内容に取り組んでいますが、残念ながらその認知度は決して高くはありません。そこで、今年度は、改めて地域に向けた発信活動に力を入れて取り組んでいます。
2学期には、理療科の校外臨床実習の一環としての理解啓発マッサージを、秋田市にぎわい交流館AUと教育庁のご協力をいただいて初めて実施しました。合計72名の方が体験してくださり、「体が軽くなった」「楽になった」という、うれしい言葉をたくさんいただきました。11月末には、相談支援機関の職員の方を主対象とした「高等部専攻科説明会」兼「見えない・見えにくい方へのサポート研修会」を初開催しました。当日は28名の参加があり、視覚障害者支援についての研修を熱心に受講してくださいました。
点字ブロックの理解啓発活動も継続して推進しています。9~10月の週末には、各種イベント会場で、事前録音したアナウンスを流していただき、点字ブロックの役割を伝える児童生徒のメッセージを多くの方に届けることができました。PTAで作成した点字ブロックの理解啓発ポスターも、掲示に協力してくださる関係機関が着実に増えています。
このような活動が、目のことで悩みを抱えている方に、本校の情報が届くきっかけになるかもしれません。何よりも、本校の存在を知っていただくことは、在籍児童生徒の地域生活や将来の社会生活の充実につながることだと考えます。今後も本校の理解者、応援者が増えるよう、様々な取組を工夫していきます。
秋盲祭 10月12日
小・中学部ステージ発表 劇・シメンシカク王国のしっちゃかめっちゃか大そうどう
道路、建物が全て直線や四角で作られた国「シメンシカク王国」。この国の女王は、厳しい規律、規則、規範で国を治めていました。
小学部児童4名は、日常の自分とは違う個性をもった王国の子どもたちを、中学部生徒2名は王国の厳格な女王とその家来を演じました。それぞれの役柄の思いを伝えるためにどうしたらいいのかを自分たちで考え、感情を込めたせりふや動き等で表現しました。
本番では、自信に満ちた顔で堂々と演じ、素晴らしい劇を披露できました。来場された方々から盛大な拍手をいただき、大満足の発表となりました。(林 栄美子)
高等部普通科ステージ発表 何度でも、青春の1ページを!
ドリームズカムトゥルーのナンバー「何度でも」の主題を学園系の劇で表現しようと始まったステージ練習は、いつも笑いと熱気に溢れていました。普通科生徒と職員、そしてゲストに生活情報科生徒を迎え、たくさんの人の思いが一つになった発表でした。コンクールで打楽器アンサンブルの「クラッピング・カルテット」を披露するまでを描いた短編青春ドラマは、バンド演奏「何度でも」でエンディングを迎えます。「何度でも、いつからでも、一歩踏み出すのなら夢は叶う」と、思いを込めて演奏した本番は、息ピッタリで胸が熱くなりました。これからもそんな仲間を大切に、自分の目標に向かって進んでいきましょう!(武田 幸美)
中学部作業学習製品販売 いらっしゃいませ!
中学部1年生は作業学習の授業で製作した点字ブロックコースターを販売しました。オリジナルののぼりを作成するなど、販売に向けて意欲を高めて臨んだ当日、緊張しながらも自分から「いらっしゃいませ」とお客さんに声を掛けました。ステージ発表をほめられると笑顔で応対し、お薦めの製品を聞かれると新色の製品を紹介するなど、積極的に接客しました。用意した製品は、15分で完売しました。終了後は、完売できたことで安心し、充実感を味わっていました。(佐藤 あゆみ)
高等部普通科職業実践製品販売 完売御礼
高等部普通科の職業実践の授業で製作した「ポチ袋」と「香り袋」を販売しました。「ポチ袋」は点字用紙をリサイクルして装飾を加えた人気商品。「香り袋」は、収穫したラベンダーを学校オリジナルキャラクターのチューモくんがプリントされた布地で包んだものです。心を込めて丁寧に製作した製品は大人気で、予定していた時間前に完売しました。
生徒たちは、お客様が製品を手に取って次々に買い求める姿を前にして、満足感を得るとともに、もっと喜んでもらいたいという気持ちを強くしていました。(秋本 久美子)
理療科体験マッサージ 感謝と笑顔
これまでの臨床実習でスキルアップしてきた3年生2名、総合実技で取り組んできた2年生1名、基礎実習で取り組んできた今回がデビューの1年生2名が、19名のお客様にマッサージ体験の施術を行いました。
1人15分間の施術はあっという間の時間でしたが、お客様と会話をし、感謝の言葉をいただき、とても充実した時間になりました。(椎名 靖和)
PTAコーナー レッツ!チャレンジモルック!
今年のPTAコーナーでは、フィンランドの伝統的なスポーツ「モルック」を行いました。2回投げて倒したピンの数字の合計点数が高いほど景品の数が増えるという特別なルールで実施しました。倒したピンの分だけ子どもたちの「おおー!」「やったー!」「いっぱい倒せた!」などの嬉しそうな声が聞かれました。
どこに投げたらたくさん倒せるか、どれを倒せば高得点になるかを考えながら投げ、うまく倒せると笑顔になっていました。皆さんの笑顔で幸せな気持ちになったPTA活動でした。(PTA監事 齋藤 麻里)
特総体 9月13日
特総体だよ、全員出場!
第23回特別支援学校総合体育大会に本校から参加した種目は、「ピン倒しボール」「フライングディスク」「グラウンドゴルフ」「ボッチャ」の4種目です。小学部から高等部専攻科まで、全校児童生徒15名が出場しました。
事前には、体育の授業を中心にそれぞれが目標を達成できるよう、練習に取り組みました。当日は他校の児童生徒との白熱した競技を楽しみ、仲間との絆を深める貴重な機会にもなりました。(大滝 陽平)
学習の様子
小学部修学旅行 何でもできるへっちゃら隊・修学旅行にレッツゴー! 11月14日~15日
1泊2日で岩手県雫石町、盛岡方面へ修学旅行に行って来ました。
1日目の小岩井農場まきば園では、クラフト教室「つめつめヒツジ」の体験をしました。「ヒツジの形が好き」と話しながら羊毛を羊の木枠に詰めて完成させました。
2日目は、盛岡手づくり村で皿作り、焼きせんべい作りに挑戦しました。せんべいの焼き型を返す動作を「ひっくり・返し」の言葉に合わせて行い、最後には1人でできるようになりました。焼きたてのせんべいの味は格別でした。
新幹線、路線バスなど様々な乗り物で移動し、たくさんの人と関わった2日間でした。「修学旅行も終われた!」と笑顔で話し、さらに自信が付いた様子でした。(石塚 さおり)
中学部修学旅行 わくわく続きの2泊3日! 10月30日~11月1日
中学部3年生は東京・お台場方面へ修学旅行に行ってきました。小学部のときは、コロナ禍で寄宿舎に泊まって県内を巡る修学旅行だったため、「秋田とは違う、東京ならではの文化に触れるぞ!」と期待感も高まりました。
1日目は日本科学未来館を見学しました。視覚障害者の移動をサポートするAIスーツケースによるナビゲーションを体験したり、念願だったロボットとの触れ合い体験をしたりしました。その後、ダイバーシティ東京プラザに行き、施設内のテーマパークやショップでは「東京らしさ」を満喫しました。2日目は、チームラボプラネッツと、アジア最大級の規模を誇るミニチュアミュージアム、スモールワールズを見学しました。3日目は東京タワーに登り、メインデッキからお台場を含む東京の景観を眺めて旅を締めくくりました。「秋田は木ばっかりだけど東京はビルばっかり!」「見学したところの、全部が楽しかった!」等々たくさんの刺激を受け、1つ1つの体験に目を輝かせた3日間でした。(加藤 しお子)
高普宿泊学習 ゆったり、まったり鈴木家の旅 9月26日~27日
八峰町にあるあきた白神体験センターで活動しました。
初日の留山散策で、樹齢およそ350年のブナの巨木についた熊の爪痕を触ったり、2日目のシーカヤック体験で消波ブロックの隙間で自然の波に揺られたりと、山と海がすぐ近くにある白神の自然環境を全身で体感しました。
目標である豊かな自然体験と、自主的な生活態度、仲間との協力が随所に見られた有意義な2日間になりました。(大滝 陽平)
敬老マッサージ 敬意を込めてマッサージ 9月12日
敬老の日に先立って、65才以上の地域の皆さんを対象に第72回敬老マッサージを本校の臨床実習室で実施しました。
今年度は1年生の2名が受付・案内を、2年生・3年生の3名が施術を担当し、9名の皆さんに敬意を込めてマッサージを行いました。施術後、皆さんが「体が軽くなった」、「肩が楽になった」と笑顔で学校を後にする姿が印象的でした。生徒も対話をしながら施術したことで、充実感に満ちた時間を過ごすことができました。(佐藤 均)
校外臨床実習 患者さんたちの笑顔が励みに 9月25日~27日
北秋田市で3日間の校外臨床実習を行いました。この実習では、延べ42名の患者さんに施術を行わせていただくことができました。生徒たちは、様々な症状に対応するため、自分のもつ知識と技術を駆使し、患者さんの声に耳を傾けながら施術を行いました。多くの患者さんから症状の改善を喜ぶ声が聞かれたことで生徒たちも自信を深め、今後の成長に繋がる貴重な経験となりました。(河嶋 真)
寄宿舎 生活集会 バランスよく食べ健康に 9月19日
今年度4回目となる生活集会を実施しました。
今回は10月、11月の生活目標「健康保持と病気予防に努めよう」に合わせて安田久美子栄養教諭を講師に招き、バランスの良い食事と健康をテーマに講話をいただきました。
講話のなかでは、1日に必要な野菜の量(350グラム)を袋に入れた砂糖を持って実際に体験する場面もあり、参加した舎生は、実際の重さに触れることで予想以上の量の多さに驚く様子も見られました。日々の食生活を見直す良い機会になりました。(森川 咲久子)
後援会だより
後援会費を納入いただきありがとうございました。
小玉 幸子・佐々木 丈・高橋 義昭・武田 利美・菅原 ルリ子・佐藤 テル・宇佐見 健二・宝池 文暁・武田 賢幸・小林 恵津子・能登屋 昌充・藤原 義博・畠山 哲也・加藤 鈴子・髙野 豊昭・細川 大地・細川 平太郎・髙橋 望・安田 泉・田中 啓悦
注:順不同、敬称略
10月末の入金分まで掲載
寄贈
ありがとうございました。
メガネの平川様より:弱視レンズ等
郵便局長会秋田第四部会様より:リンゴ
東ロータリークラブ様より:インクジェットプリンター等
栄光の記録
第23回特別支援学校総合体育大会
ピン倒しボール:小学部の部 第2位
ボッチャ:OP高等部の部 第3位 視覚支援学校Bチーム
フライングディスク:ディスタンス(グループ)第1位 鈴木 稟々果 第3位 鈴木 萌那
特別支援学校文化連盟みんなの写真展
優秀賞 二刀流の手 中学部1年 湊 愛唯香
行事予定
1月
14日(火曜日)3学期始業式
2月
7日(金曜日)全校PTA
22日(土曜日)、23日(日曜日)あはき国家試験
28日(金曜日)入学者選考日
3月
6日(木曜日)卒業式
20日(木曜日)修了式
22日(土曜日)春季休業4月4日まで
26日(水曜日)離任式
ご退職
配偶者同行休業中でしたアンワー留美子先生(旧姓 奥山)が、11月15日付でご退職されました。長い間ありがとうございました。
編集後記
残暑の9月、15名全員が出場した特総体。山々が色付き始めた10月、15名の笑顔のパワーがはじけた秋盲祭。いくつもの経験を重ね、確かな成長を続ける15名。年が明けると卒業・修了、進級に向けてのステージの始まりです。
冬休み中に充電して、次のステージに備えましょう!(畠山 尚子)