クイックロービジョンケア 見つけやすく
2025年2月3日
長い廊下に、同じような部屋が並んでいる場合(例えば、教室、アパート、老人保健施設、ホテルなど)、自分の部屋が見つけづらくて困ったということはありませんか。
次の写真は、本校の寄宿舎の廊下の様子です。
同じような部屋が並んでいますが、部屋の入り口の前の廊下に、黒いテープを1本貼るだけで、この部屋と特定しやすくなりました。
廊下に誰かいないかを確認せずに飛び出してしまうことがある元気な生徒の部屋の前の廊下にテープを貼ったケースです。本人に対し、一時停止して確認することと、他の人に、この部屋から人が飛び出してくるかもしれないので注意することの、双方への注意喚起を促す効果がありました。
単に、特定の部屋を見つけやすくするためであれば、ドアや入口脇の壁に、ポスターのようなものを貼っておくだけで十分です。本人が分かりやすいものであれば、ドアや壁とコントラストがはっきりした色の折り紙1枚でも構いません。
似たようなものが並んでいる時には、何か特徴的なアクセントをつけることで、
目的のものを見つけやすくなります。
例えば、通常の学級で、クラス全員分のファイルが、1箇所にまとめて置かれている場合、弱視の生徒が自分のファイルを見つけやすいように、その生徒のファイルの背表紙にのみ、大きめのカラーシールを貼ってみましょう。
本校では、児童生徒数が少ないため、そのような状態の写真が撮れないので、ここでは、図書室の文学全集を使って、1冊だけを目立たせてみます。右の写真では、背表紙に黄色のシールを貼った本に視線が向きますね。
このように、ちょっとした目立つ工夫をすることで、目的のものを見つけやすくなります。
また、視野が狭くなってきた人は、例えば、室内の電灯のスイッチや、壁にかけてある家の鍵などを探しにくくなることがあります。
狭い視野の中に、小さなものを収めるのは難しいことです。
そのような時は、探したいもののすぐ上や横に、大きめのポスターやカレンダーを貼っておきます。
視野が狭い状態でも、大きなポスターやカレンダーなら視野の中に入りやすいので、それを手掛かりにして、その下、あるいは右といった具合に目的の小さなものを探していくと、見つけやすくなります。
特別な道具を使わずに、簡単にできる工夫ですので、何かを見つけにくくてお困りの方は、試してみてはいかがでしょうか。
視覚障害者用に開発された高価な支援機器でなくても、自分にとって使いやすい道具を探すと、生活の中のちょっとした困りごとを解決することができます。
このような、ちょっとした工夫で見えにくい方の生活を改善できるようなアドバイスを行うことをクイック・ロービジョンケアといいます。
文房具の紹介の際もお伝えしているように、弱視の人は、それぞれ見え方が違うので、絶対にこれが一番というものはありません。紹介した方法を参考にしながら、自分にとって使いやすいやり方を探してみてください。