卒業生インタビュー 全国盲学校弁論大会出場経験者からのメッセージ 3
(2023年 初掲載)
秋田県立視覚支援学校オリジナルキャラクターのチューモくんです。
2023年10月6日に、本校を会場に、第91回全国盲学校弁論大会が開催されます。そこで、本校卒業生で、過去に、全国盲学校弁論大会に出場した方々に、当時の思い出や、秋田大会に出場する皆さんへのメッセージを伺いました。
チューモくん:こんにちは。お名前と、参加した大会、そのときの演題を教えてください。
舩木:舩木修です。2001年の第70回大会に出場しました。高等部専攻科理療科の1年生でした。演題は、「失敗してもいいじゃないか、人間だもの」でした。
チューモくん:どんな思いで、このタイトルにしたのですか?
舩木:38才で完全に視力を失い、それでも「前に進まなければ」の一心で盲学校へ電話しました。その時に電話に出ていただいた教務主任の先生の言葉が今でも忘れられません。「よく決心して電話してくれましたね、後は安心してこちらに来てください。」と。
弁論大会のテーマ「失敗してもいいじゃないか、人間だもの」については、私の好きな相田みつをの言葉を引用しました。当時出来ないことが多くなり、落ち込むことがたくさんありました。そんな時に自分を鼓舞してがんばることが出来た言葉だったと思います。
チューモくん:入学したばかりの頃は、まだ点字の読み書きができなかったと伺いましたが、原稿作りや練習は大変ではありませんでしたか?
舩木:本番に向けて、国語の先生に指導してもらい、何とか暗記して言えるようになりましたが、今だったら絶対覚えられなかったと思います。
チューモくん:参加した大会の思い出は何かありますか?
舩木:大会会場は大阪市立盲学校(現在の大阪府立大阪北視覚支援学校)でした。
8月に盲導犬を取得したばっかりで、大阪に連れて行くのは不安でした。案の定、大阪へ行ってからトラブル続発。まず盲導犬が現地に行ってからおしっこ、うんちを全くしなくなりました。いつも草むらか土でおしっこ、うんちをしていたのが、大都会大阪には草むらも土もなーい! 大会の前日は一度もしませんでした。
チューモくん:パートナーになったばかりの盲導犬と一緒に出かけたんですね。
舩木:そうです。
こんなこともありました。夜、食事を食べに外出した際、盲導犬を部屋に置いて出かけました。食事から帰って来てベッドの上に置いてあったかばんを見ると、2日分の盲導犬の餌がなーい! 全部食べられていました。
そして、当日、盲学校へ行くと土のグランドがあるではありませんか。急いで盲導犬と一緒にグランドへ行くと、今まで我慢していた大量のおしっことうんちがこんもり。
と、いろいろなハプニングに見舞われながら大会に出場しました。今にして思えば、いい思い出です。
チューモくん:最後に、全国から集まる今年の出場者への応援メッセージをお願いします。
舩木:秋田へようこそ。ここまで来る間に、皆さんは大きな困難を乗り越えてこられたはず。後は落ち着いた気持ちで演台の前に立ってください。
「失敗してもいいじゃないか、人間だもの」… とは、今回は言いません。
がんばってくださいね。
チューモくん:お忙しい中、インタビューに応じていただき、ありがとうございました。
舩木さんの弁論は、「全国盲学校弁論大会四七話 生きるということ-鎖の輪が広がる-」(ジアース教育新社)に収録されています。
(2025年10月1日 再掲載)