卒業生インタビュー1(1回目)
(2022年 初掲載)
秋田県立視覚支援学校オリジナルキャラクターのチューモくんです。「チューモくん日記」では、本校やその周辺のことについて語っていきます。
令和4年度のサマースクールの保護者学習会では、視覚障害児の進路について取り上げました。今回は、それに向けて事前に行った、平成27年度に本校中学部を卒業した工藤星奈さんへのインタビューを紹介します。全3回です。
令和4年2月15日の北羽新報(能代市を中心に発行されている新聞)に、「障がい者モデル夢追う」「音楽活動にも意欲」「能代市出身工藤星奈さん」「やりたいこと」広がる」という見出しの記事が掲載され、かつて本校で関わった職員の間で話題になりました。
大学で音楽を学びながら障がい者モデルとして資生堂150周年CMに出演するなどの活躍を見せている工藤さんにモデルになったきっかけや、視覚支援学校時代の思い出などを聞きました。
チューモくん:こんにちは。まずは、プロフィールを教えてください。
工藤:現在、フェリス女学院大学音楽学学部芸術学科の3年生です。小学3年生から特別支援学級(弱視学級)で過ごしました。秋田県立盲学校(当時。現・視覚支援学校)の中学部に進学し、二ツ井から電車通学していました。冬は、電車が遅れることもあるので寄宿舎に入りました。その後、筑波大学附属視覚特別支援学校(以下、筑波附属)の高等部音楽科で、3年間、主課でピアノを、副課で声楽を学びました。高等部卒業後は、同じ筑波附属の専攻科音楽科に、2年課程ですが1年だけ所属して、大学受験をしました。
去年(令和3年)の10月に障がい者専門芸能事務所「アクセシビューティーマネジメント」に所属しました。
チューモくん:モデルを目指したきっかけは何ですか。
工藤:幼いときに、母が見ていたファッション雑誌の中のモデルさんが輝いていて、憧れていました。しかし、視覚障害があると難しい面があると思って諦めていたのですが、大きくなるにつれてやりたい気持ちが強くなってきて、高等部3年から専攻科1年にかけて、普通のモデルのオーディションをいくつか受けました。1次選考は通るのですが2次選考では落ちてしまいました。
専攻科1年の時に、障害があってもモデルをしている人がいないのかなと思って「視覚障害 モデル」などのキーワードで検索しました。まだ、アクセシビューティーマネジメントはできていなかったのですが、美容業界から障がい者の就労支援をする株式会社アクセシビューティーのHPを作るためのモデル募集というのを見付けました。これは、応募しないとあとで後悔すると思って応募しました。
私は、親に相談しないで動いてしまう性格なので、勝手に応募しました。無事に通って、撮影に行ったとき、メイクをしてもらったり、カメラがあったりと、憧れていた空間がそこにあって、「これだ!」と思いました。親には、撮影会に参加したことも事後報告でした。
チューモくん:すごい行動力ですね。その後の経緯を教えてください。
工藤:その後、しばらく経ってから、撮影会でお世話になった、アクセシビューティー代表取締役の臼井理絵さんから、アクセシビューティーマネジメントをつくるということでスカウトされました。とてもうれしかったです。それで、これも親に相談せずに所属しました。
チューモくん:ご両親もびっくりなさったでしょうね。
一度は諦めていたモデルになるという夢を叶えた工藤さん。
ご両親にも相談せずに、どんどん自分で決めて進んでいったようです。
次回は、どんな仕事をしたのかについて伺います。
(2025年8月8日 再掲載)