弱視職員へのインタビュー1(2回目)
(2022年 初掲載)
秋田県立視覚支援学校オリジナルキャラクターのチューモくんです。「チューモくん日記」では、本校やその周辺のことについて語っていきます。
本校の弱視の教師が子ども時代にどんなことを感じて過ごしていたかというインタビューの5回中の2回目です。
チューモくん:前回、「大人になれば見えるようになる」と思っていたという話を聞きましたが、、今思えば勘違いだったというようなエピソードは他にもありますか。
ミヨシ :色に関するエピソードがあります。
小さい頃、いろいろな場面で母親から「真っ黒」という言葉を聞きました。タオルが真っ黒、シーツが真っ黒、靴下が真っ黒、いろいろな「真っ黒」を聞きましたが、自分にとっては、「真っ黒=漆黒」で、タオルに黒いインクが垂れているような状態をイメージしていました。実際は、うっすら汚れている状態を指していたのだと思いますが、その「うっすら」が見えていなかったので、母親は、大袈裟に言っているのかなと思っていました。同じように、顔が真っ赤、手が真っ赤といった表現がありますが、小さい頃は、その真っ赤の意味もよく分かりませんでした。自分にとっては、「真っ赤=真紅」なので、肌がほんのり赤くなるという色の変化を確認することができず、これも、大袈裟に表現しているものと思っていました。
チューモくん:色に関する言葉のイメージが、お母さんとは違っていたんですね。イメージの話とは別に、色に関することで、困ったことはありましたか。
ミヨシ :「赤いボールペンから黒インク」事件というのがありました。授業で赤いボールペンを使うことがあって、赤いボールペンを買ってもらいましたが、自分が見ると、インクの部分はどう見ても黒でした。書いてみても黒でした。母親にそのことを伝えると、「キャップが赤いでしょ。」と言われたので、そういうものだと思っていました。色覚に異常があって、細かい部分が分かりづらかったのです。
チューモくん:面積が広いところは「赤」に見えても、線のように面積が狭い部分では色の区別が付きにくかったんですね。
そうした、お互いが感じているニュアンスの違いが分からないと、コミュニケ-ションがうまく取れませんね。大人の方で、フォローしなければならないのでしょうが、保護者の方も、自分の感覚では、子どもがそうした受け止めをしているとは、すぐには気付かないかも知れませんね。
色の区別が付きにくい子どもに対しては、色に関する言葉のイメージや慣用的な使い方についての知識を広げていくことや、実際の色の区別がはっきり分かるように、コントラストに気を付けたり、分かりやすいように広い面で見せたりするという配慮があるといいですね。
(2025年8月4日 再掲載)