視覚障害者の生活~タブレットで注文~
(2022年 初掲載)
秋田県立視覚支援学校オリジナルキャラクターのチューモくんです。
「チューモくん日記」では、本校やその周辺のことについて語っていきます。
今回は、本校の弱視の職員に、タブレットで注文する方式の飲食店について聞きました。
お話を聞いたのは、ニムラさん(女性・仮名)、ミヨシさん(男性・仮名)、ヨツヤさん(男性・仮名)の3人です。
チューモくん:この間、久しぶりに入ったラーメン屋さんでびっくりしました。注文は席に取り付けられたタブレットでするし、注文したラーメンはロボットが運んできて、自分で席に移し替えないといけないし。これは、見えない、見えにくい人たちには大変なんじゃないかと思ったんだけど、そういう店ではどうしていますか?
ミヨシ :タブレットで注文するのは厳しいですね。予め分かっていれば、そういう店は避けるようにしています。
チューモくん:行かないんですか。タブレットで注文する方式の店は、たくさん食べるお客を一人逃しちゃいましたね。
ヨツヤ :その人の見え方にもよるだろうけれど、慣れればなんとかなるもんだよ。ただ、操作を覚えるまでが大変。
あと、チューモくんが行ったというラーメンのチェーン店は、フロアに店員さんが立っていて、いろいろ手伝ってくれるんだ。タブレットの操作はもちろん、子どもが自分でやって火傷しないようにロボットからどんぶりを下ろすことも、店員さんがやってくれるので心配ないよ。
困るのは、全部自分でやらないといけない個室タイプの居酒屋とかかなぁ。店員さんに助けを呼ぶのは一苦労だからね。
チューモくん:困っているお客をすぐに見つけて手助けできるように店員さんが配置されていると助かりますね。そういえば、僕が行ったラーメン屋さんでは、近くのテーブルに座った高齢のご夫婦のところでは、店員さんがタブレットの操作をしていました。
ニムラ :私は、店員というより、タブレットの位置かなぁ。席から見上げる位置にタッチパネルが固定されている回転寿司だと、見える人のように座ったまま手を伸ばして注文なんてできないし、立ってのぞき込もうとすると姿勢が窮屈になるし。
手元にタブレットがあって、自由に持ち上げられるところだったら、手に持って、いくらでも目に近付けて見られるから大丈夫なんだけど。だから、そういう店には行く。
チューモくん:タブレットでの注文は、店にとっては省力化につながるし、お客も忙しい時に店員の手が空くのを待つイライラから解放されるので、いいことが多いのでしょうね。
でも、見えにくくて操作が難しい人もいれば、そういうやり方に慣れていない高齢者もいるわけだから、困っているお客にすぐにサポートできるような店側の対応は大事ですね。
それから、ニムラさんが言っていたように、多くの人が操作しやすいように機器の配置の仕方も考慮してほしいですね。
さて、ミヨシさんも、サポートがしっかりしている店から、タブレットでの注文に挑戦してみませんか?
ミヨシ :そうですね、考えてみます。
(2025年 7月31日 再掲載)