視覚障害者の生活 ATM
(2022年 初掲載)
秋田県立視覚支援学校オリジナルキャラクターのチューモくんです。
「チューモくん日記」では、本校やその周辺のことについて語っていきます。
今回は、本校の弱視の職員に、日常生活の様子を聞きました。
お金を出し入れするATMは、どんな風に使っているのかな?
お話を聞いたのは、イチカワさん(男性・仮名)とニムラさん(女性・仮名)の2人です。
チューモくん:銀行のATMはタッチパネルで操作しないといけないですよね。以前は、物理的なスイッチがついていた銀行ATMもありましたが、機械が入れ替わるごとになくなっていったように思います。皆さん、普段はどうされていますか?
イチカワ:私は、郵便局ですね。以前から、お金を下ろすときは郵便局のATMの方が便利だと聞いていましたから。機械についている受話器(ハンドセット)の音声ガイドを使っています。郵便局は日本中どこにでもありますから、同じサービスが使えて便利です。
チューモくん:ああ、以前から、郵便局のATMには、点字や触って分かる物理的なスイッチがついていますからね。
そういえば、以前、「弱視OL奮戦記」(芳賀優子 著、都市文化社)という本を読んだ時、銀行のATMの液晶画面をよく見ようとして顔を近づけると、機械に「画面に荷物を置かないでください」と言われる。私の顔は荷物じゃない、というようなことが書かれていた記憶があるのですが、そんなこともあるんですか?
ニムラ :今は、銀行ATMに画面の表示を大きくすることができる機能がついているものもあるんだけど。液晶画面の中のスイッチが大きくなると、レイアウトが変わってしまって、かえって分かりにくくなることもある。私は、コンビニのセブン銀行を使うことが多いかな。
チューモくん:セブン銀行のATMは使いやすいんですか?
ニムラ :郵便局のATMのように受話器を持って音声ガイドに従って受話器についたテンキーで操作するんだけど、音声ガイドを利用している間は、液晶画面に金額などの情報が出なくなるし、本体のテンキーやタッチパネルが操作できなくなるから、周りからのぞかれたり勝手に操作されたりする心配がないから便利なのよ。
コンビニにあるから、買い物ついでに振り込みなどにも使えて便利だし。
チューモくん:なるほど、銀行によっては、ATMに受話器がついていても係員を呼び出すだけのものであったり、利用できる取引が限られたものだけというケースもあるようですので、セブン銀行は便利そうですね。
お話を聞かせていただいてありがとうございました。
では、お二人が普段使っているATMについておさらいします。
郵便局とセブン銀行のATMは、どちらも、受話器についているテンキーで操作をします。操作の手順は音声ガイドで案内されます。また、どちらも、全国どこでも同じ操作で使えるのがうれしいところではないでしょうか。
郵便局のATMには、通帳やカードの挿入口、各種操作ボタンなどに点字が付いているほか、小さな突起が飛び出して取扱金額などを表示する点字金額表示器もあります。また、取引金額など、より詳細な音声ガイドを聞きたい時は、持参したイヤホンをイヤホンジャックに差し込むと情報が得られます。
点字の付いた通帳・証書・キャッシュカードも発行していますので、点字使用の方も一人でお金を管理しやすくなっています。
セブン銀行のATMについては、ニムラさんが説明したとおりです。メガバンク、地方銀行、ネットバンク、信用金庫など、約540の金融機関と取引できます。
(2025年7月30日 再掲載)