チューモくん日記 110周年・ひと 盲児の遊びの研究
(2022年初掲載)
秋田県立視覚支援学校オリジナルキャラクターのチューモくんです。
「チューモくん日記」では、本校やその周辺のことについて語っていきます。
秋田県立視覚支援学校は、令和4年度で創立110周年。
今回は、旧職員の活躍を紹介します。
1967年(昭和42年)4月に秋田県立盲学校に就任し、1972年(昭和47年)3月までの5年間在籍した柴田信雄先生。
本校に来る前には、「こどもの作文のみちびき方」(泰光堂、1956年)、「児童詩教育の方法」(牧書店、1964年)という2冊の書籍を出しているほか、共著や教育雑誌への寄稿も多数ある方でした。
本校赴任から1ヶ月経たないうちに、担任していた小学部5年生たちの詩を集めた小冊子「太陽の子 第一集」を自費出版しています。1年間で10集まで出されたようです。1972年には、その取組をまとめた、「盲目の詩集とその指導の記録 太陽の子」(しばた・のぶお著、鳩の森書房)が出版されています。
秋田県立盲学校2年目の1968年からは、盲児の遊びの収集と研究に取りかかります。きっかけは、夏休みにもらった子どもからの手紙に「毎日の生活が退屈で困っている」と書かれているのを読んだことでした。
そこで、担任していた子どもたちと一緒に、全国の盲学校の小学部や幼稚部に点字の手紙を出し、どんな遊びをしているのかを尋ねました。
柴田先生は、盲学校を離れた後もこの取組を続けます。国内の盲学校のみならず、各国大使館などを通じて海外の遊びについても収集しました。
日本の盲児の遊びについての小冊子8冊、海外の盲児の遊びについての小冊子2冊を自費出版し、それらを元にまとめたものが、「シリーズ・障害者の世界3 目の見えぬ子の遊び」(しばた・のぶお編著、明治図書、1978年)、「日本盲児遊戯集」(しばたのぶお編著、鳩の森書房、1981年)、「世界盲児遊戯集」(しばたのぶお編著、自費出版、1993年)です。
このほかに、1988年には、カナダ在住の佐藤紀子氏が、「日本盲児遊戯集」を英訳し、「JAPANESE GAMES FOR BLIND CHILDREN」として出版。1992年にはしばた氏が中国語訳とロシア語訳を自費出版し、各国大使館に送っています。
この取組は、新聞等でもたびたび取り上げられており、1991年には、第22回博報賞(特殊教育部門)を個人で受賞しています。
盲学校に赴任してから25年。盲学校を離れてから20年。小学校教員の職務の傍ら、ずっと調査研究を続け、国内のみならず海外にまで発信し続けたその努力に、敬意を表します。
(2025年6月2日 再掲載)