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ここがポイント教科指導 情報編

情報にアクセスできる環境は、社会の進歩に伴い飛躍的に向上しています。しかし、現在のデバイスは視認性を重視して設計されているため、視覚障害のある児童生徒にとっては扱いにくく、情報格差(デジタルデバイド)も生じています。
そのため、児童生徒の情報活用能力を育成するためには、見えにくい画面を拡大や色調調節で補ったり、視覚から得られない情報を、聴覚(音声読み上げ)や触覚(ピンディスプレイ等)などで代替したりする工夫が必要です。以下に本校で実践している取組を紹介します。

1 情報活用力につながる基礎的な知識・技能、環境設定

(1)OSのアクセシビリティ機能活用

PC、タブレット型端末、スマホなどのOSには、標準でアクセシビリティ機能が備わっています。この機能を有効にすることで、画面拡大・白黒反転・色調節・カーソル強調などが可能です。設定は児童生徒一人一人の見え方に応じて細かく調整できます。画面から情報を得にくい場合には、スクリーンリーダー(画面読み上げ機能)も利用できます。

(写真 拡大鏡のレンズモード)
(写真 カーソルの強調)
(写真 弱視、光過敏症のための配色のテーマ)

(2)キーボードによるショートカットキーの活用

マウス操作の代わりに、キーボードのショートカットキーを覚えると、操作効率が大幅に向上します。例えばAltキーを押しながらTABキーを繰り返し押すと、開いているウインドウを順に切り替えられます。これにより、見えにくいアイコンや動き回るマウスカーソルを探す必要がなくなります。
(写真 開いた二つのウインドウを切り替える)

(3)アプリの設定

インターネットブラウザやMicrosoft Office、Visual Studio Codeなどのアプリには、ダークモードや拡大設定などが備わっています。OSの設定だけでは対応できない場合も、各アプリで個別に調整が可能です。

2 実感を伴う教材の工夫

(1)指導内容の精選

全盲の児童生徒には、画像や文書デザイン、グラフ作成の代わりに音声、テキスト文書データ、表計算ソフト等を活用し、一つの題材について時間をかけて深めます。弱視の生徒には、見え方や興味関心に応じて題材を選択、アレンジして指導します。

(2)教材の工夫

パソコンのハードウェアの学習では、カバーを開けて、直接CPUやメモリを直接触察します。またデジタルとアナログの違いを実感するために、レコードの溝とCDの表面を、立体コピーで再現した教材を触るなど行っています(写真1 レコードとCDの表面を比較)。
プログラミング学習では、実際にロボットをプログラミングして動かします(写真2 マイコンロボット)。「10キープログラミングロボット(TAMIYAマイコンロボット改造)」は、micro bitを組み込み、パソコンなしで動作を制御できます。電話のテンキーと同じ配列のキーボードを備え、全盲・弱視の児童生徒にも扱いやすく設計されています。
※福岡工業大学の木室研究室より寄贈していただきました。

3 情報を取得し活用する力を育む

(1)漢字変換機能の活用

視覚障害のある児童生徒の中には、仮名漢字交じりの文章を苦手とする場合があります。その際には、パソコンやiPadの漢字変換機能を活用することで、負担を軽減しながら読み書きを行うことができます。

(2)アプリによる支援

スマートフォン・タブレットアプリには、色を判別する機能や、カメラにかざした文字を読み上げる機能をもつアプリ(色のめがね、Seeing AIなど)があります。見えにくい部分をICTの力で補うことで、学習を進めやすくなります。

(3)検索力と問題解決力

情報検索に慣れていくことで、将来、困難に直面したときに自分で調べ、工夫しながら解決する力も養われます。

4終わりに

情報活用力は他教科の学習を支える基盤です。支援者はICT機器やアプリの活用を工夫しながら、教科横断的に共有・実践していくことが重要です。児童生徒本人が習得することで、学習環境や使用端末が変わっても柔軟に対応できるようになります。

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