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ここがポイント教科指導 社会科編

視覚障害のある児童生徒の学習では、触覚教材や拡大・音声教材を活用することや、具体的な事物・事象や動作と言葉とを結び付け、的確な概念の形成を図ることが大事とされています。本校の社会科の取組の一部をご紹介します。 

1 視覚以外の感覚を使う

(1) 聴覚1

音声は重要な情報源です。本校では、ICレコーダーやタブレット型端末の録音機能を校外学習でのメモとして使用します。小学部の警察署や消防署での校外学習では、インタビューの録音や業務に関わる音声の収集に使用します。

(2) 聴覚2

山川出版社の『音の世界史』『音の地理』等のシリーズは、授業に使える「音」が収録されています。音声情報のもつイメージは、教科書の文章の理解に役立ちます。例えばテレビのドキュメンタリー番組では、臨場感のある音声に触れられることが多いため、教師が補助的に解説を加えることで、全盲弱視に関わらず、児童生徒の興味関心が喚起されるとともに教科書の情報に実感が加わります。また、テレビ番組の副音声による解説放送も徐々に普及しているようです。

(3) 嗅覚

いろいろな香り・においも、フィールドワークなどでのチェックポイントといえます。工場の油のにおい、スーパーの各売り場の香りなど、理科の実験と同様に社会科においても大事な情報源です。

(4) 触覚

実物に触れられる場合は、それを触察するのが一番ですが、「大きすぎて触れられないものは小さく、小さすぎるものは大きく」という基本に沿い、本校では、寺社や建築物等の他、様々なミニチュアを触察に用いています。学校教材以外にも、教師が旅先や博物館、プラモデルショップ、玩具屋、百円ショップ等で購入したものが多くあります。

(5) 味覚

地理や歴史では食べ物を食べてみることがあります。地理のアフリカの学習でチョコレートを食べる、歴史の学習でどんぐりクッキーを食べるなど、児童生徒の記憶によく残るようです。

2 視覚を使う

教科書の小さな写真については、朝日新聞出版の『週刊20世紀』などの書籍で拡大されたものが見られる場合があります。また、ポプラ社の『教科書に出てくる歴史ビジュアル実物大図鑑』では、全体の中から切り取った一部が実物大で示されており、文化史の学習に有効です。
同様に、タブレット型端末ではiPad専用のアプリケーションソフト『UDブラウザ』により、視覚に障害のある児童生徒が『PDF版拡大図書』と呼ばれるPDF化された教科書を利用することが可能になり、文字や写真、図表などを見やすい大きさに切れ目なく拡大することができるようになりました。(詳しくは、慶應義塾大学中野泰志先生のホームページをご覧ください)。児童生徒自身が拡大の操作をするため、拡大した部分がページ全体のどこに当たるか把握できます。また、図や表、写真などの資料を鮮明に拡大し、じっくりと見ることで、児童生徒が見付けた問いを学習活動の展開に生かしやすくなります。
本校では、児童生徒の在籍数の減少により、日常的に教師との一対一の学習活動が多くなっています。そこで、今後もICT機器の利用の仕方を工夫し、例えば、ICT機器を用いて児童生徒によるアウトプットを増やし、生徒の思考を可視化して対話を深めたり、学習のプロセスの振り返りにより社会科の見方考え方を生かした学び方を児童生徒と共有したりする等の学習活動の充実の取組を進めていきたいと考えています。

3 博物館等地域の施設との連携

本校では秋田県立博物館への校外学習の際、事前にお願いすることで、説明を受けながら展示物を触察したり、展示物の学校への貸出しを受けたりしています。例えば、博物館から借用した脱穀機を使って、収穫した米の脱穀の体験をしたり、社会科的な体験を含むイベントを企画した際には、秋田県立農業科学館や秋田県埋蔵文化財センターに出前講座を依頼したりしました。
今後も、児童生徒の体験的な学習の機会が得られるよう、地域の施設や機関に協力を求めていきたいと思います。

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