小学部 国語
文学的題材における、具体的に想像するための工夫
弱視児は視覚的な情報の制限や生活経験の不足、興味・関心の幅の狭さから語彙が少なく、文学的作品の理解が難しいことが多い。そこで、ファンタジー要素のある文学的題材の中の出来事や登場人物の心情を具体的に想像するための工夫を行った。
1 自ら疑問をもつために
題材の導入として、物語の不思議さに対して児童が自ら疑問をもつように仕向けるため、「これは、現実では起こりえないことが起こる物語である」ということを伝えてから題材文を読むという活動の流れにした。
あらかじめファンタジーというジャンルについて言及しておくことで、現実と物語中の出来事を比較しやすくなり、児童が自ら疑問をもち、その疑問を問いの文として表現することができた。
2 具体的に想像するための教具の工夫
児童が場面における登場人物の状況や気持ちを具体的に想像し、場面と場面を関連付けて考えるためには、場面の状況を把握するための手立てが必要だと考えた。
そこで、「再現ボード」と称して児童がホワイトボード上で操作できる各場面の挿絵や登場人物のカード等を用意した。情報が多過ぎて児童自身の想像を阻害しないよう、各場面の挿絵(背景)と想像の鍵となる登場人物やキーアイテムのみを提示するよう心掛けた。
カードは、裏に磁石を付け、場面ごとに分けたボード間を移動させたり、重ねたりすることができるようになっており、児童が自ら操作することで、いつ誰がどんな言動をしているのかということが分かり、場面の状況と題材文の叙述を結び付けることができた。
さらに、場面の状況を理解できたことで、叙述で直接語られていない登場人物の気持ち等を想像し、根拠とともに自らの考えを説明することができた。