ここがポイント教科指導 国語科編
視覚障害のある児童生徒は、視覚的な情報の制限や生活経験の不足、興味・関心の狭さから語彙が少なく、登場人物の気持ちや情景などを具体的に想像することを苦手とする場合が多くあります。言葉の意味や使い方を正しく理解し、自分の考えを表現したり様々な文章を適切に読み取ったりすることは他教科の学習や日常生活において、とても大切な力です。本校の国語科での取組を一部ご紹介します。
小4「ごんぎつね」の実践について
1 語彙を豊かにするために
なじみのない物や言葉、風習について具体的にイメージできるように、タブレット型端末を使用し、インターネットで検索したり、デジタル教材「ごんぎつねものしり図鑑」(半田市教育委員会)を活用して調べたりする活動を取り入れました。「ごんぎつねものしり図鑑」では、本文中に出てくる「お歯黒」や「かじ屋」など、なじみのない言葉についての解説や写真が載っています。
また、日本能率協会マネジメントセンター出版の「12歳までに知っておきたい言い換え図鑑」(写真1)や「12歳までに知っておきたい語彙力図鑑」(写真2)などの書籍を参考に、語彙力の拡充を図っています
2 登場人物の気持ちの変化の読み取るために
情景や登場人物の言動を基に、気持ちの変化を読み取れるように、場面ごとに登場人物の行動や会話を一覧にまとめました(写真3 板書)。登場人物の気持ちを考えるときに、児童から気持ちを表す言葉が出てこないことや微妙なニュアンスの違いがあることがあります。そのようなときは、身近な例を示したり、辞書で言葉の意味を調べたりして、適切な言葉を考える時間を十分に確保しています。さらに、表情アイコンを作成し、登場人物の気持ちに合わせて、アイコンを選び、視覚的に変化が分かりやすいようにしました(写真4 板書)。
3 「情景」の読み取りについて
「情景」の読み取りでは、読み取るときの視点を示しました。視点としては、(1)「空は~」「雲が~」のように天気を表す言葉 (2)「暗い」「明るい」のように雰囲気を表す言葉の2つを示しました。また、「どんより」と「からっと」といったように、対比させることで、「情景」から読み取れる登場人物の気持ちを具体的にイメージすることにつながりました。
題材文の前に、「情景」が読み取りやすく、登場人物の気持ちに結び付けやすい簡単な文章を用いて、「情景」の読み取り練習をしました。じっくり取り組むことで、「情景」について、児童の理解が深まり、物語文の読み取りに生かされました。
漢字学習について
見えにくい児童生徒の漢字学習では、漢字全体のバランス(縦画と横画の長さのバランス、偏と旁のバランスなど)と漢字の細部(止め、はね、はらいなど)を正しく把握することが大切です。そこで、新出漢字を学習する際は、「常用漢字筆順辞典」というアプリを活用しています。
このアプリでは、手書きで検索したい漢字を入力すると、画面の上部に候補が出ます。(写真5 手書きをしたアプリ画面)選択候補をタップすると、選択した漢字大きく表示され、漢字の細部が見やすくなります。赤くなっている部分(写真6 筆順が表示されているアプリ画面)は、次に書くべき筆順を表しており、筆順の確認もできます。
また、日常生活の中で目にしたことがある単語を取り上げ、生活と関連付け、漢字の定着と語彙力の拡充を図っています。