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令和7年度 クローバー4号

子どもの視力の発達について

子どもの目は、生まれた瞬間から発達が始まります。しかし、目の発達にはタイムリミット(臨界期)があるのはご存知でしょうか。タイムリミットを迎える前に異常を見付け、適切に治療することがとても大切です。
ロービジョン支援センター乳幼児支援班では、市町村や就学前の保育・子育て支援施設からの依頼を受けて「子育て講座」を行っています。ここでは、講座でお伝えしている内容や、参加者の方から寄せられた質問についてご紹介します。

「見える」ってどういうこと?

視力は「脳」の機能です。目に入った光が網膜に投影され、電気信号として脳へ送られることで、初めて「見える」と認識します。しっかりとピントの合った映像を網膜に映すことが必要です。
屈折異常を見つけて矯正することが大切なのは、そのためです。

赤ちゃんってどれくらい見えているの?

赤ちゃんは、生まれたその瞬間から周囲の光を目に取り込み、視力を発達させていきます。生まれたばかりの赤ちゃんの視力は 0.02 程度と言われており、授乳するお母さんの顔がぼんやりと見えるくらいです。3歳ごろには0.8 程度まで伸びると言われています。

視力の発達にはタイムリミットがあるの?

視力は、生後1年までに急激に発達し、その後は徐々に緩やかになり、6歳から8歳ごろに発達がほぼ止まると言われています。必要な治療を就学までに行えるよう、検診や日常の観察(遊びを通した気付きなど)を大切にしたいものです。

(写真:視力の発達グラフ ①正常な発達 ②弱視の状態 ③治療を開始した場合)

3歳児検診で精密検査を勧められたら?

3歳児検診で行われる眼科検診で精密検査を勧められた場合は、できるだけ早く眼科を
受診してください。異常が見付かったとしても、早期に治療を開始することで、タイムリ
ミットである就学までに視力の発達を促せる場合が多いと言われています。

スマホなどのデジタル機器を使う時の注意点は?

2歳までは、スマホ等を見せないようにするのが理想ですが、デジタル機器とうまく付き合っていくためには、「距離」を意識することが大切です。目から少なくとも30cm以上離して見ることができるよう、スタンドやホルダーを活用するなどの工夫が必要です。子どもの腕は短く、手に持ったままでは30cmの距離を確保できないことが多いことを理解しておくことも大切です。

子どもの目の発達の特徴を知り、デジタル機器だけではなく、全身を使った遊びやアナログな遊びを取り入れ、健やかな目の育ちをサポートしたいものです。

【参考:日本眼科医会ホームページ】

<文責 佐藤加奈子>

視力検査のいろいろ

教室の最前列の席から板書を見るために必要な視力は、0.3 と言われています。学校で行う視力検査は、主に教室で板書が見えるかどうかを確認するための一つの手がかりになります。
一般的な視力検査と言えば、5m※の距離で測定する遠距離視力で、視力計(字詰まり視標)で測定します。しかし、この方法が難しい場合には、ほかにもさまざまな検査方法があります。ここでは、本校で活用している検査方法をご紹介します。

5m※:通常は5mの距離で測定しますが、5mよりも近い距離で測定した場合は、距離の換算をして遠距離視力を導き出します。

検査した距離/5×その距離で見えた視線の数値

ランドルト環 字一つ(単独)視標

環の切れ目を口頭、指差し、ハンドルで示す等で測定します。

(写真)カードと同じ向きに、手元のハンドルを合わせています。

単独絵視標

何の絵か、口頭、またはマッチングによって判定します。
提示しているカードと同じ絵を、手元のシートで指差ししています。

(写真)「これと同じのものはどれかな?」

Lea GRATINGS(縞視標)

「無地の面」と「縞の面」を同時に示し、縞がどちらかを指差して答えさせることで調べます。指差しができない場合でも、視線の動き(縞の方を見たかどうか)を観察して、他覚的に判定することができるため、0歳から検査が可能です。

(写真)同時に提示した面の、縞の方を指差ししています。「しましまはどっち?」

森実式ドットカード

近距離(30cm)の視力検査です。動物(うさぎ、くま)の目が分かるかどうかで調べます。

※ 通常は 30cm の距離で測定しますが、30cm より近い距離で測定した場合には、距離の換算が必要になります。

(写真)両方の人差し指などで目を隠すことができたかどうかを判定します。上の写真では、くまの目が隠れていないため、見えていないと判定します。「くまさんの目、いないいないばあ!」

巧緻性の問題で正確に示せない場合→目があるカードと目がないカードを同時に提示し、目がある方のカードを指差してもらいます。

(写真)「目があるのはどっち?」

【参考・引用】視覚障害教育入門Q&A(ジアース教育新社)
<教諭(兼)教育専門監 落合久貴子 ・ 視能訓練士 田中敦子>

お問い合わせ

秋田県立視覚支援学校 ロービジョン支援センターへご連絡ください。
相談支援担当:近江龍静(おおみ りゅうせい)教頭、銭谷 寿(ぜにや ひとし)、佐藤 加奈子(さとう かなこ)、武田 幸美(たけだ ゆきみ)、藤田 由樹(ふじた ゆき)
住所:010-1409 秋田県秋田市南ケ丘一丁目1番1号
電話:018-889-8571
ファクス:018-889-8575

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