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目の話 複視

(2024年 初掲載)

秋田県立視覚支援学校オリジナルキャラクターのチューモくんです。
このシリーズでは、視機能に関連する話題を取り上げていきます。
今回は、ものがダブって見える現象についてです。

最近、「スマホ急性内斜視」という言葉をテレビや新聞などで目にすることが多くなりました。
スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機などを長時間見続けることで、片方の目が内側に寄るというものです。
10から20代の若い世代を中心に増えていると報道されています。

私たちの目は、物を見るときに両目がその方向に向いています。両目を同時に使うことで、物を立体的に見ることができます。もう少し詳しく言うと、右目と左目、それぞれから入った像を、脳内の視覚中枢で一つに合わせることで、立体的に見えるということです。 
スマホ急性内斜視では片方の目が内側に寄ってしまうために、左右の目から入ってきた2つの像にずれが生じ、物が横に2つ並んで見える「複視」を自覚するそうです。
この、「物が横に2つ並んで見える」ということを、言葉で説明しても、感覚的に分かってもらうのがなかなか難しいと感じています。
そこで、よく体験してもらうのが、通称「空飛ぶウィンナー」の実験です。

1.目の前30㎝くらいのところで、左右の手の人差し指を2㎝程空けて向かい合わせます。
2.そのまま、両手を少しずつ目の前に近付けていきます。
3.ある程度近付くと、あら不思議、右と左の人差し指の間に、ウィンナーソーセージのようなものが浮かんで見えます。

ウィンナーソーセージのようなものの両端には、爪が付いています。
つまり、指を目に近付けていくことで、右目で見た左手人差し指の先端と、左目で見た右手人差し指の先端の見える範囲がずれてしまい、それぞれの像を脳内で合成した結果、両端に爪の付いたウィンナーソーセージのように見えてしまうのです。
この場合、両方の目が内側に寄るわけですが(いわゆる「寄り目」)、「スマホ急性内斜視」の場合は、片方の目が内側に寄ってしまい、常にこのようにものがダブって見えてしまうということです。

スマホや携帯ゲーム機を使うときに、寝転んだりうつ伏せになったりしていると、目から30センチメートル以上離すことが難しくなり、「スマホ急性内斜視」のリスクが高まるそうです。
正しい姿勢で、あまり長時間、画面を見続けることがないように気を付けましょう。

(2025年11月20日 再掲載)

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