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ここがポイント教科指導 保健体育科編

視覚障害がある児童生徒の多くは、運動することに苦手意識をもっています。一因として、通常は見て模倣して覚えることができる型の決まったフォームや動作の習得も、見えにくさから時間が掛かったり、体の動きにぎこちなさがあったりすることなどがあげられます。児童生徒が体育の授業を通して、身体の動きを習得したり、体力の向上を図ったりするためには、体を動かす楽しさや心地よさを味わい、成功体験を重ねることが大切です。そこで、指導のポイントについて本校で実践している取組を紹介します。

【フライングディスク】

〈教材や取組の工夫〉
フライングディスクのアキュラシー競技では、円形のゴールにディスクを通過させた投数を競い合います。しかし、個々の見え方によってディスクがゴールを通過したのか、していないのかが分からないという場面があります。そのため、鈴の音でゴール通過が分かるアキュラシーゴールを作製し、活用しています。また、ベルを使用し音で距離や方向を示しています。ベルは他の種目でもゴールを示す種目で活用し、統一した音で伝えています。通常の競技に合わせた距離だけでなく2m間隔で投球位置を離すことで、チャレンジする意欲を高め、楽しんで取り組めるようにしています。

(写真1 ゴール内にゴムを張ってベルを結び付ける)
(写真2 距離マークのゴムマットを2m間隔に床に置く)

ここがポイント!

1 ディスクの持ち方や投げ方など基本動作の習得に時間をかける。
2 練習の繰り返しでフォームを安定させる。
3 ゴールを通過しなかったときに、方向や距離のずれを詳しく伝える。
4 「自己記録に挑戦」ゴールまでの距離を徐々(2mずつ)に伸ばしていく。
5 最初は、風の影響を受けない体育館で実施する。

【ブラインドサッカー】

〈教材や取組の工夫〉
ブラインドサッカーはブラインドスポーツ(視覚障害者のスポーツ)の一つであり、音の出る専用のボールを用いてプレーします。弱視の児童生徒はフットサル用のボールを使用しています。キーパー以外はアイマスクをしますが、授業では安全面に配慮し、装着せずに活動しています。ゴールを決めることが楽しさやモチベーションへつながっていくので、ゴール通過が音で分かるようにしています。シュートやパスの練習ではゴム製のマーカーを使用し、自分で立ち位置やステップの幅、ゴールの方向が分かる工夫もしています。
  
(写真3 ボールが通過するとベルが鳴るように工夫したゴール)
(写真4 シュート練習の様子)
(写真5 2本のラインの間でパス練習)
(写真6 立ち位置や方向が分かるマーカー)   

ここがポイント!

1 シュート・パス・ドリブルなど基本技術の習得に時間をかける。
2 音での支援だけでなく、マーカーを使用し、自分で位置・方向を判断し練習に取り組む。
3 ねらいどおりにプレーできているかを即時評価する。
4 がんばりが伝わり、達成感を得られるような発表の場を設ける。

まとめ

どの種目においても「できた」という体験を大切にして活動しています。個々の段階に合わせてスモールステップで活動を分けたり、見え方に合わせた教材の工夫をしたりしています。うまくいかないときには「なぜうまくいかなかったのか?どうすればよいのか?」を本人が気付くようにアドバイスをして、「できた」という成功体験の積み重ねで、チャレンジ精神が育ち、楽しさを感じて自分から積極的に練習に取り組むようになっていくと思います。

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