クイックロービジョンケア~杖を倒さない~
秋田県立視覚支援学校オリジナルキャラクターのチューモくんです。
このシリーズでは、本校の相談支援活動でよく耳にする、生活上の不便さに関する話題から、対応策を紹介して喜んでいただけたものを紹介していきます。
今回は、出かけた先などで白杖を倒さないようにする道具の話です。クイックロービジョンケアの範疇から少しはみ出すかもしれませんが、便利なグッズですので紹介します。
白杖は、体を支えるための杖よりも長いので、出先で席に着いた際など、どこに置こうかと扱いに悩むことがあります。
テーブルの縁などにセットして、杖が倒れないようにする道具は、大分以前から販売されていますが、少々値が張ります。
先日、秋田県点字図書館の方から、「百円ショップでも売っていますよ」と教えていただいたので、早速探しに行ってきました。
購入したのは2種類です。
一つは、テーブルの縁に杖を立てかけるタイプ。マグネットが付いているので、スチール棚などに貼り付けて使うこともできます。
(写真:商品パッケージと使用例)
もう一つは、ベルトでいすの肘掛けやキャビネットの柱などに固定して使うタイプです。ベルトは、縦横どちらにも付け替え可能なので、ベルトが回る場所があればあちこちで使えそうです。
(写真:商品パッケージと使用例)
よくある誤解ですが、白杖は、「全盲」の人だけが持つものではありません。
道路交通法第14条には「目が見えない(目が見えない者に準ずる者を含む。 以下同じ)は、道路を通行するときは、法令で定める杖を携え、または法令で定める盲導犬を連れていなければならない」とあります。障害者手帳の等級などについては書かれていませんので、弱視の人でも、足元の安全の確保と、自分が見えにくいということを周囲に知ってもらうために白杖を持ちます。また、道路交通法第14条第2項には、「目が見えない者以外の者(耳が聞こえない者及び政令で定める程度の身体の障害のある者を除く。)は、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める用具を付けた犬を連れて道路を通行してはならない」とあります。「政令に定める程度の身体の障害」とは、平衡感覚障害を示します。めったに見かけることはありませんが、日本の道路交通法によれば、視覚に障害がない聴覚障害者と平衡機能障害のある人も白杖を持つことができるのです。
視覚障害者用に開発された高価な支援機器でなくても、自分にとって使いやすい道具を探すと、生活の中のちょっとした困りごとを解決することができます。
使い勝手は、それぞれの人によるので、「絶対にこれが一番」というものはありません。紹介した商品を参考にしながら、自分にとって使いやすいものを探してみてください。
(2025年10月10日 初掲載)