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2号(セルフアドボカシー、授業の際の配慮点、進路先紹介など)

「セルフアドボカシー」特別支援教育アドバイザー 佐藤 淳

令和6年度の大学入学共通テストからリスニングで補聴援助システムを持参使用できるようになった、ということをある冊子を読んでいて知りました。よかったと思う半面、これまでそれができなかったことに驚きました。
補聴援助システムを持参使用するためには、本人が「受験上の配慮」の申請をしなければなりませんし、高校でロジャーなどの補聴援助システムを使用してきた実績がないと申請できません。
高校に進学した難聴の生徒たちは「ちゃんとロジャーを使ってもらっているだろうか?」「必要な配慮をしてもらっているだろうか?」「遠慮して何も言わないでいるのではないか?」……と不安がよぎります。
高校には難聴学級はなく、全時間の授業を通常の学級で受けることになります。そのとき必要となるのが「セルフアドボカシー」つまり自分の障害や必要な配慮について周囲に認識させ,適切な支援を求めていくための能力や技術です。これを中学校卒業までに獲得させたいものです。
セルフアドボカシーは一朝一夕に身に付くものではなく、幼少期からの指導が重要であると言われますが、指導方法について体系的に示した資料は見たことがありません。しかし、うまく配慮をして授業が行われているなと思われる小・中学校では、担任の先生が難聴児童生徒から困ったことを日常的に聞き出している点が共通しているようです。例えば、小学生では、避難訓練で外に避難したとき「車の通る音や風の音が補聴器に入ってきて、校長先生が何を話しているのか分からなかった」、中学生では「○○先生は早口なので疲れる」「□□先生がマスクをして話すときはロジャーからの音声を切って肉声を聞いた方が聞き取りやすい」等々です。
年度当初は難聴児童生徒にとっては、新しい先生や仲間の音声、話し方、その聞き取りに慣れる時期でエネルギーを使うのだそうです(これも、ある生徒の話から分かったことです)。その結果をまだ聞いていない場合は、是非聞いてみてください。そして日常的に困ったことを聞き出すことを心掛けてほしいと思います。このこともセルフアドボカシーの獲得に有益だと思われるからです。


難聴児の授業を担当する際の配慮点

難聴児は「聞こえる時」と「聞こえない時」があるため、周囲から理解されにくい面があります。そのため、正確な実態把握のもと、きこえに合わせた適切な配慮を行う必要があります。また、わからない時に何度でも聞き返してよいことを伝え、雰囲気づくりなど安心感をもたせることも大切です。

指導場面における基本的な配慮

  • 音声、手話、文字等、コミュニケーション手段を活用したり、視覚的教材や板書の工夫をしたりします。
  • 理解につなげるために、視覚的教材や板書の工夫をします。
  • 対面で口形を見せる、少しゆっくり目の速さ、明瞭な発音など分かりやすい話し方を工夫します。
  • 分かったことを言わせるなど、伝わっているかの細かな確認を行い、正しく理解できるようにします。

情報保障の配慮

  • 必要に応じて、パソコン要約筆記、ノートテイク、手話通訳などの配置
  • 教室内の騒音の軽減対応やロジャー等の効果的な使用、聞きやすい座席や位置

指導上の配慮

  • 言語力を伸ばすには、文字で正確な情報が得られる読書がよいといわれています。更に、読み書きの力を高める指導も工夫が必要です。例えば、身近な出来事やニュースなどを題材に、助詞を含んだ文章でやりとりして文法の理解につなげたり、作文を継続して書く力を伸ばしたりできるようにします。
  • 障害認識のための指導を行い、障害を受容し、たくましく生きる力を育てる指導を工夫していきます。

修学旅行・宿泊学習に向けて

校外での活動、泊を伴う活動の際に、注意してほしいポイントを紹介します。
補聴器や人工内耳の自己管理に向けて、保護者とも連携できるといいですね。

事前

  • 補聴器や人工内耳の管理の練習を家庭でしておく。(電池交換、充電、ケースでの保管)
  • 人工内耳、補聴援助システムのマイクは、「誰が」「どの部屋で」充電するかを決めておく。

当日

  • 予備の電池を携帯する。(かばんのどこに入れたかを担任も把握)
  • 入浴・就寝時には、補聴器や人工内耳の置き場所を決め、電池を外してケース等に入れる。

校外での情報保障

  • 可能なら、ガイドの方にも補聴援助システムのマイクを使用していただく。
  • すぐに使用できるメモ帳や鉛筆を携帯し、活用する。(児童生徒、教師)
  • 就寝時、入浴時は、補聴器や人工内耳を外すため、普段より聞こえにくいことを引率教員で共有し、外したときのやり取りの方法等を決めておく。

「でんでんくん」の送付、並びに掲載内容の希望から

今年度もたくさんのご回答ありがとうございました。掲載内容の希望として多かったのは、進路情報についてでした。卒業生の進路状況や求人情報について、随時情報提供していきます。また、自立活動や授業における配慮点についても、実践例を交えて掲載していく予定です。本校ホームページでも各年齢段階での自立活動の実践例をはじめ、ロジャーの使用方法等、様々な内容が見られますので、ぜひご覧ください。

令和5年度 本校卒業生の進路先紹介

学部進路先内容
Aさん
(男性)
高等部
産業技術科
トヨタ自動車(愛知県)新入社員研修後、5月から配属先の工場で組立て業務を行っています 。
Bさん
(男性)
高等部
普通科
筑波技術大学
産業技術学部
産業情報学科(茨城県)
国内唯一の視・聴覚障害者のための大学で、全国から入学した友人と共に学んでいます。
Cさん
(女性)
高等部専攻科
産業技術科
厚生ビル管理(能代市)病院内で廊下や洗面所、畳部屋などの清掃業務を行っています。
Dさん
(男性)
高等部専攻科
情報デザイン科
北日本運輸(秋田市)
北日本運輸(秋田市)社内にてトラック車両の整備補助業務にあたっています。
Eさん
(男性)
高等部専攻科
情報デザイン科
西郷村役場(福島県)学校教育課の所属となり、伝票処理などの事
務業務を行っています。

お知らせ

難聴児童 交流会 ・補聴相談会

今年度は、7月6日( 土曜日 )に本校を会場に実施予定です。詳しい内容 や参加申込書 については、 今後、在籍校に送付 いた します。

手話学習会1

令和6年7月10日(水曜日)15時50分から16時30分まで
習熟度に応じて3グループに分かれて実施します。参加希望の方は 電話・FAX・メール等で「 きこえとことば支援センター 」 小松までご連絡ください。

お問い合せ

きこえとことば支援センター(秋田県立聴覚支援学校内)

〒010ー1409 秋田市南ケ丘一丁目1番1号

直通携帯電話番号:090-8784-6302

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