令和6年度 無花果 196号
No196 2024年12月25日
窓辺の落書き
教頭 小玉 幸子
1階の廊下を奥に進んで行くと、天井から「実習棟」と示した木製の札が下がっています。ある日、朝夕の見回りをして表示の下で片開き窓を開けた時、落書きを見つけました。窓の床板に彫り込んだ文字は、コンパスの針や硬いペンの先で書いたようです。落書きには、こんな言葉が記されていました。「永遠のあなた」。
今年度の学習発表会は、10月26日に行われました。毎年のことですが、幼児児童生徒みんなの個性が発揮され一人一人が輝いて、「19colors〜みんなの思いを胸に」のテーマにぴったりのステージ発表が行われました。フィナーレや生徒会企画も大いに盛り上がり、久しぶりに開催されたランチランドも大盛況でした。卒業生も来校して様々なことを懐かしんだり、友達や職員との再会を喜んだりしていました。また、11月17日、同窓会創立92周年記念祝賀会が盛大に行われ、各地から多くの卒業生が集まって旧歓を温めておられました。2つの催しを通し、あらためて本校に関わる人たちの深いつながりを感じました。
窓辺の落書きは、もしかすると、卒業した生徒が書きのこしたものかもしれません。無論、「永遠のあなた」はどこにも存在しません。しかし、久しぶりの再会で在学中にタイムスリップし、打ち解ける光景を見ていると、思い出は永遠であることを感じます。
聴覚支援学校の長い歴史の中で、幼児児童生徒や指導をめぐる状況は、大きな変遷を遂げてきました。その中にあって、間違いなく変わらないものもあり、大切に受け継がれているように思います。毎日の学校生活のどこを切り取っても、伝え合う幼児児童生徒や職員の姿があります。「伝える」ということを不変のものとして継承してきた学校といえるでしょう。
私事ですが、本校でお世話になった先生方の訃報が続き、寂しい2024年になりました。これからも、全職員で子どもたちを見守り、不易の価値を引き継いでいきたいと思います。
学習発表会
かわいい蝶々に大変身!
幼稚部 大滝 侑以子
今年は、みんなが大好きな絵本「はらぺこあおむし」の劇を発表しました。学校やおうちで張り切って練習をがんばった子どもたち。本番は、家族が作ってくれた愛情いっぱいの衣装を着て、やる気満々。あおむしになりきって、元気いっぱいお話ししたり、踊ったりと、笑顔が輝くキラキラしたステージになりました。長い文のナレーションに挑戦した子どももいます。また、絵本から飛び出したようなカラフルな背景は子どもたちと作りました。子どもたちへの温かい応援とたくさんの拍手をありがとうございました。
シング!すてきなでんでんホール
小学部 伊藤 直美
今年の小学部の劇は「でんでんホール」の復活がテーマでした。音楽で練習したギター、休み時間に楽しんでいる自転車や縄跳び、生活単元学習のショータイムなど学校生活における子どもたちの学習や特技を生かし、様々な発表に挑戦しました。オーディションでは子どもも先生も新たな才能が開花し、それぞれの個性あふれるステージは見応えがあったのではないでしょうか。本番は練習の成果を存分に発揮でき、大成功を収めることができました。
POWERS OF TWO
中学部 中野 あかね
中学部の発表は、器楽演奏、歌、カラーガード、宿泊学習の体験をクイズ形式で紹介する等、多くのことに挑戦しました。練習を重ねるにつれ、相手の台詞に合わせて自分の動きを工夫したり、音やリズムを意識して演奏をしたりと、お互いに呼吸を合わせた発表ができるようになりました。生徒からは、 「歌の手話表現では、空間を広く使って表現できた」 「お客さんの方を見て、笑顔で話すことができた」という達成感に満ちた感想が聞かれました。
一人一人が輝いた三湖伝説
高等部 上山 剛
高等部は、一学期に手話パフォーマンス甲子園に向けて辰子と八郎の物語を制作しました。このストーリーに新キャラクターの南祖坊を加え、「三湖伝説」として披露しました。生徒たちは人から龍、龍から人へと変化する様子や、激闘、二人の出会い等の様々なシーンを工夫して表現しました。教師と話し合ったり、友達の意見に耳を傾けたりしながら真剣に練習に取り組んできました。一人一人の頑張りの積み重ねで新たな「三湖伝説」を披露することができたのではないでしょうか。
生徒会活動
やり遂げた生徒会活動
高等部3年 川邉 蓮
今年度は中高合同で、生徒会企画で何をやるのか話し合いをしたり、使う道具の準備をしたりしました。子どもたちに楽しんでもらいたいと思い、的当て屋を企画しました。みんなで集まって準備する時間が少なく、とても大変でした。当日はみんなで協力し合いスムーズに運営を行い、お客さんに的あてを楽しんでいただけてよかったです。
PTA活動
親子でランチランド
小学部6年 保護者 中川 裕子
ランチランドには初参加でしたが先生方が丁寧にやり方を説明してくれたおかげで、小学部の児童と保護者、みんなが笑顔で接客することができました。普段とは違う雰囲気の中で昼食を食べたり、他の保護者の方に話しかけてもらったりと、とても楽しい時間を過ごすことができました。
各学部の学習・行事コーナー
くだものいっぱい 秋の遠足
幼稚部 菅原 研
9月17日、秋の遠足に行ってきました。家族と一緒に作ったしおりを首から提げ、スクールバスに乗って出発。行き先は潟上市の加賀谷果樹園です。果樹園には、おいしそうなぶどうやなし、りんごがいっぱい。「大きいね」「いいにおいだね」などと、お母さんとお話ししながら収穫しました。おいしそうな果物にみんな大喜びでした。収穫の後は、もう一つのお楽しみ、お弁当タイムです。セリオンプラザに移動して、お母さんが作ってくれたお弁当をもりもり食べました。
果物の収穫とお弁当に、お腹も心も大満足の秋の一日でした。
ワンちゃんふれあい体験
小学部 佐藤 悦子
やってきたのは、穏やかなゴールデンレトリバー、人形のようなパピヨン、愛嬌のあるミニチュアダックスフンドの5匹。「犬」は知っていても間近で見るのは初めてで皆ドキドキ。それでもハンドラーの教えどおりに自分の手の匂いを嗅がせそっと触ってみたら、もうワンちゃんの虜。ふわふわの毛、温かいからだ、チラチラ動くピンクの舌、顔や手に感じる犬の息づかい・・・みんな大喜びでした。近寄ることができなかった児童もクイズをしたり、犬の様子を見たりしながら楽しみました。優しく温かい気持ちになった時間でした。
職場体験
中学部 熊谷 風花
11月7日〜8日の2日間の日程で、職場体験を行いました。
1年生は、社会福祉法人サンハウスで体験をしました。初めての職場体験でしたが、フルーツネットの数を数えたり、折ったりする作業を時間いっぱい頑張りました。
3年生は、中通リハビリテーション病院、秋田県立医療療育センターで体験をしました。2日間で、看護、リハビリテーション、保育等の様々な仕事を体験し、自分の進路について考える良い機会になりました。職員さんに積極的に質問をすることもできました。
この職場体験で学んだことを、日々の生活や学習に生かしていってほしいと思います。
手話をきっかけに広がった交流の輪
高等部 皆川 歩
昨年度に引き続き、全国高校生手話パフォーマンス甲子園に挑戦しました。残念ながら本大会のステージに立つという目標は達成できませんでしたが、手話パフォーマンスをきっかけに金足農業高校のみなさんとオンライン交流を行いました。大会挑戦の経験や手話表現、普段の学校生活などの情報交換を行い、生徒は「金農の生徒のみなさんがとても明るかった。交流を通して、今まで触れることがなかった世界を知った」「次は直接会って話したい」などと振り返っていました。
手話パフォーマンスをきっかけに広がった縁を大切にし、今後も交流を深めていきたいです。
難聴児童交流会
支援部 泉 拓行
7月6日(土曜日)に行われた交流会には、県内の小学校に通う児童及び本校の小学部児童15名とその保護者、担任の先生が集いました。児童の交流では、グループの仲間同士で声を掛け合いながら楽しく関わり合う様子が見られました。今回、高等部専攻科2年生の生徒2名が参加し、ゲームの審判を務めるなど、先輩として、またロールモデル的な存在として、会を盛り上げてくれました。
保護者部会では、専攻科在籍生徒の保護者から、これまでの子育てを振り返り、きょうだいへの接し方等多岐にわたる内容で講話をいただきました。参加者からは、「自分だけが補聴器という環境下にいる子どに対する向き合い方が、参考になった」等の感想が沢山出されました。
調理活動(飾り巻き寿司)
寄宿舎 長里 ひとみ
ボランティア人材バンクを活用し、調理を行いました。あきた巻き寿司倶楽部代表「飾り巻き寿司インストラクター」の仲野谷るみ子先生をお迎えして、ハロウィンをテーマにした「飾り巻き寿司作り」に寄宿舎生3名が挑戦しました。
全員初めての経験でしたが、先生に手順を教えていただいたり、自分から質問したりしながら、「ハロウィンかぼちゃ」の飾り巻き寿司を作りました。「難しい!」と苦戦する場面も見られましたが、それぞれ見た目も楽しく、おいしい巻き寿司を完成させました。生徒からは、「また違う絵柄も作ってみたい」という感想が聞かれました。
PTA研修 事業所見学
高等部1年保護者 佐々木 芙未子
11月11日、二カ所の事業所見学に行きました。飯島の就労支援B型事業所「スクラム」では、クリーニング作業を中心に行っており、徒歩圏内にあるグループホームも見せていただきました。「潟上天王つくし苑」では、就労支援B型の製菓作りと生活介護の支援が行われていました。
どちらの事業所も個々の能力に合わせて、無理なく作業に取り組むための環境づくりに力を入れていると感じました。利用する側としては、「報・連・相」や自分から伝える力が必要だと思いました。
利用者側のニーズにどこまで対応してもらえるのかなど、事業所によって異なる部分もあるので、実際に見学に行き質問させていただくことができてよかったです。
しかしながら、数ある事業所の中から自分の子どもに合いそうな事業所を選ぶのは大変なことだと、改めて思いました。またぜひ参加したいです。
ニュース・トピックス
秋田県高校文化祭総合美術展
デザイン部門
推奨:高等部3年 川邉 蓮
推奨:高等部3年 沼倉 蓮
工芸部門
推奨:高等部2年 藤田 泰輝
第61回全国聾学校陸上競技大会
一部男子 やり投
6位入賞 高等部2年 藤田 泰輝