4号(聴覚障害教育担当者研修報告、本校中学部・高等部の取組など)
2025年9月9日
発行:きこえとことば支援センター(秋田県立聴覚支援学校内)
令和7年度聴覚障害教育担当者研修8月7日(木曜日)の報告
補聴援助システム「ロジャー」について
ソノヴァ・ジャパン(株)フォナック補聴器営業部
佐藤佑氏、佐藤幸一氏
ロジャーの性能と特徴、使用のポイントを知るだけでなく、ロジャーフォーカスの試聴体験を通して実際に自分の耳で音の違いを感じる機会になりました。
質疑応答では、集会場面での活用の仕方について質問が挙がり、いずれの学校でも支援環境や機器の扱い方に課題を感じていることがうかがえました。終了後も個別に質問をされる先生方が多く、ロジャーシステムを活用しているからこそ、さらに効果的に使いたいという思いを強く感じました。
【感想紹介】(一部抜粋)
・ロジャーを使うとどのように聞こえるのか、実際に試聴体験できたことで、担任している児童とコミュニケーションを取ったり、学習中の指導をしたりする際に気を付ける事や心がけることが分かりました。
・これまで、あまり聴こえていないのではと、つい思ってしまい、必要以上に児童の傍らで支援していたこともありました。ロジャーの性能を知り、使用中のときは、聞こえより指示を理解できているかを注意深く見守っていきたいと思いました。
中学生段階で大切にしたいこと
中学生は学習内容が難しくなると共に、自分の将来を考え始める時期です。難聴のある生徒にとっても、学習の仕方を工夫しながら基礎を確実に積み上げていく力を付けていくことが大切です。同時に、自分の聞こえ方や必要な配慮を伝えるセルフアドボカシーの力を育てることも欠かせません。どちらの力も、将来に渡って、身に付けるべき内容があります。例えば、セルフアドボカシーについては、「ゆっくり話してください」など丁寧な言い方で依頼することなどが考えられます。進路選択を見据えて、日々の学校生活だけでなく、「ロールモデルとの出会い」や「受検に係る配慮申請」などの機会を生かしながら、「学習面に関わる力」と、自分の障害と強みを理解して「必要な支援を伝えて配慮を得る力」の育成を両輪として支えていきたいものです。
本校中学部の取組
中学部には、「中学校と同じ教科書を使って勉強する課程」と「各教科等を合わせて学ぶ課程」があります。視覚的情報などに工夫をこらし「分かる授業」を実践して、一人一人の学び方に合わせて学習を進めています。また、教科等の学習の他に「自立活動」の時間が充実しています。ことばに関すること、自分の聞こえの理解とよりよいコミュニケーションのあり方など、自分自身の生き方に生かせるためになる勉強です。少人数の学部ですが、他学部との交流や行事も充実しています。

高校生段階で大切にしたいこと
高校生になると中学時代よりも活動範囲や人間関係が広がります。同時に、大学進学・就職など希望する進路に向けて自分の障害と向き合う場面も多くなります。受験にあたっては配慮申請を、その後社会人として生活するためには周囲に合理的配慮を依頼する必要があります。その前提として、まずは生徒自身が自分の聞こえについて理解し、ことばで説明できる力が必要です。学生のうちに、オージオグラムの見方、聞き誤りの傾向、苦手な発音などの自己分析や友達・先輩の体験談を知る機会を設けることが大切です。※参考文献「聴覚障害児のためのセルフアドボカシー」ジアース教育新社
本校高等部の取組
高等部では、普通科と産業技術科、情報デザイン科があり、生徒はそれぞれ大学進学や一般企業への就職を目指して学んでいます。
普通科では6月に県内大学の見学をしました。また模擬試験を複数回実施しており、今後は他高校との合同模擬試験も実施予定です。大学受検に向け、着実に学力を高めていきます。
産業技術科・情報デザイン科では、6月に5日間の職場実習を実施しています。地域の企業での実習を通して、職場での人との関わり方や通勤時のマナーをはじめ働くために必要な事柄を学びます。
高等部専攻科では、2年間で社会人としてのふるまいや生き方について考えます。また、学校の授業と並行して定期的に企業での実習を行うこと(デュアルシステム)ができます。職場での経験を積むことができるのが特色です。

第4回一側性難聴児童生徒の集い8月9日(土曜日)の報告
保護者を含め9名の参加でした。今年度は、カジュアルミーティング(座談会)の形式で行い、活発な情報交換ができました。近況報告に始まり、プールの授業における周りへの配慮のお願い、英語のリスニングの進め方、補聴器の活用、進学・就職に向けて等が話題になりました。
参加者同士、話すことで自分を見つめたり、参加した保護者の方が、当事者の話からお子さんと照らし合わせて考えたりする機会になりました。
【感想紹介】(一部抜粋)
・皆の話をたくさん聞けて楽しかったです。自分が話したときに共感してくれる人がいるのが本当に嬉しくて、参加してよかったなと感じました。
・子どものこれからのこと(中高)を聞けてよかった。
・Aさんの就職活動等のお話が息子の今後の参考になり、参加できてよかったです。


お知らせ
中学部説明会
<日時>9月29日(月曜日)9時10分~11時40分
<申し込みしめきり>9月12日(金曜日)
<内容>
・概要説明(行事については生徒が説明)
・授業参観(昨年度の授業のVTR視聴)
・体験授業(手話を用いた授業)等。
※希望する方は個人面談と寄宿舎参観もできます。
高等部・高等部専攻科説明会
<日時>9月18日(木曜日)
・高等部説明会9時~11時30分
・高等部専攻科説明会13時30分~15時50分
<内容>
・概要や学科、進路状況等の説明
・授業参観(高等部のみ)
・寄宿舎見学等
※当日以外に教育相談や体験学習を随時受け付けています。
全校授業研究会
授業参観と研究会を通して、授業における支援方法などを知っていただくことができます。
<期日>
・9月19日(金曜日)高等部2年生生活単元学習
・10月(予定)幼稚部4歳児保育
・10月(予定)高等部1年生国語科
オンライン情報交換ルーム
難聴のお子さんを担当している先生方がつながり、情報交換をしたり悩みを相談し合ったりします。
<日時>
第2回 10月 2日(木曜日)15時45分~16時30分
第3回 1月13日(火曜日)13時30分~14時30分
ぜひご参加ください。
お問い合わせ
きこえとことば支援センター(秋田県立聴覚支援学校内)
【直通携帯電話】090-8784-6302
〒010-1409 秋田市南ケ丘一丁目1番1号
【聴覚支援学校】
TEL:018-889-8572
FAX:018-889-8575
E-mail:chokaku-s_shien@akita-pref.ed.jp