3号(通常の学級における支援について1、難聴児童交流会の様子など)
小・中学校(通常学級)における支援について1
「きこえとことば支援センター」が関わっている小・中学生の中には、難聴学級ではなく通常学級に在籍して学んでいる児童生徒もいます。今回は大きな集団の中で聴覚障害をもつ子どもたちが安心して学べる環境をつくるための具体的な方法や工夫についてご紹介します。
コミュニケーション
大事な連絡は「文字情報で」が原則ですが、日常的は語りかけの場合、「キーワード」を示すだけでも大きな手掛かりとなります。その場の話題が何についてなのかが分かるだけでも、内容を類推できてスムーズに伝わりやすくなります。
補聴援助システムの活用
補聴器や人工内耳がうまくはたらかない状況(騒音下や話し手と距離があるとき等)では「補聴援助システム」を使うことで周囲の雑音を取り除いて話し手の声をクリアにしたり、離れた場所からでも聞き取りやすくしたりできます。また、CDやテレビ、携帯電話と補聴援助システムを直接つなぐことで、より明瞭に聞き取ることができます。
英語の学習
きこえ方には個人差があるので、「難聴だから英語ができない」ということはありません。しかし「耳できく」活動が多い教科に苦手意識をもつ子どもは少なくありません。ここでは中学生以上の指導例をご紹介します。
単語の覚え方
単語のスペルを「syllable(音節)数」に分け「発音記号」「ストレス(強勢)」に気をつけて発音する。日本語の意味と合わせてノートに書いて覚える。
英文の覚え方
- 指導者に続いて読む。最初はゆっくり単語をsyllable(音節)単位で指さして読む。
- 指導者の範読を聞きながら文字を指で確認しながら聴く。
- 指ではなく目で追いながら聴く。
- 文字を見るのをやめ、範読を読話しながら聴く。
- ダイアローグの中から2~3文を選び、読みを聴いて書き取る。
参考文献「難聴児・生徒理解ハンドブックー通常の学級で教える先生へー」学苑社
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難聴児童交流会
7月6日(土曜日)に本校で行われた交流会には、県内の小学校に通う児童及び本校の小学部児童合計15名とその保護者、担任の先生が集いました。
児童の交流では、自己紹介の後、グループ対抗で4つのゲームを行いました。お題に沿って整列する「せいれつゲーム」、ペアになってボールをスティックで運ぶ「スティックリレー」、息を合わせて場所を移動する「しゅんかんいどう」、恒例となったロールペーパーを積み上げる「ぐらぐらロールタワー」など、どれも協力したり声を掛け合ったりしながら、楽しく交流を深めることができました。
また今回は、本校高等部専攻科2年生の生徒2名が参加し、写真撮影やゲームの審判などを務めたり記念品のプレゼントをしてくれたりして、先輩としての立場で会を盛り上げてくれました。さらに、交流会の終わりには、今年度で参加が最後となる6年生の児童が「学校生活を楽しむためのコツ」についてこれまで学んだことを、参加児童たちに向けてプレゼンで紹介してくれました。短い時間でしたが、とても楽しく充実したひとときを過ごすことができました。
保護者情報交換会
地元の小・中学校の難聴学級を経て、本校高等部に入学し、修了を控えている先輩保護者による講話をいただきました。きょうだいへの接し方、登校時に温かく送り出すことの大切さ、分からない時は聞き返すことを幼少期から伝えてきたこと等、これまでの子育てを振り返り多岐にわたる内容でした。参加者からも、質問や感想が沢山出されました。
話題に挙がったこと・参加者の感想の例
- 上の子どもと比べてしまうが、そうではないことをこの会で確認できた。
- 「やばい」等の言葉は、家庭でも使わない。別の言葉に置き換えて話すことが大切。
- 耳からの情報が入りにくい子どもたちにとって、家庭での言葉掛けや、読書の習慣は語彙を増やすことにもつながる。
- 自分だけが補聴器という環境下、親としての向き合い方が参考になった。
- このようにいろいろな経験談を聞く機会を大事にしたい。
お知らせ1
一側性難聴の集いについて
令和6年8月17日(土曜日)9時30分から12時まで
一側性難聴児童生徒とそのご家族、担当者を対象に一側性難聴の方の経験談を聞いてきこえの状態や必要な支援を学んだり、情報交換したりします。参加者全員で楽しく交流し、毎年「参加してよかった」という感想を多数いただいております。対象のご家庭や学校宛にご案内しておりますが(参加対象は小学生以上で、 幼児の場合は保護者のみの参加とさせていただきます)、関心のある方はお問い合わせください。
お知らせ2(担当者限定)
聴覚障害教育担当者研修会
令和6年8月6日(火曜日)9時30分から11時30分まで
東北福祉大学の茂木成友先生をお迎えして「聴覚障害児における漢字の読み書き習得の発達-日記による指導から-」というテーマで講演いただきます。各校宛にご案内をお送りしておりますので、詳細をご確認の上、お申し込みください。
手話学習会2
令和6年8月22日(木曜日)9時から9時40分まで
習熟度に応じて3グループに分かれて実施します。お気軽にご参加ください。
参加申し込みは、8月16日(金曜日)まで「きこえとことば支援センター」小松までお願いします。
お問い合せ
きこえとことば支援センター(秋田県立聴覚支援学校内)
〒010-1409 秋田市南ケ丘一丁目1番1号
直通携帯電話番号: 090-8784-6302