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令和5年度 第21回 わくわく美術展 審査講評

審査員 秋田大学大学院教育学研究科 教授 長瀬達也

本展審査の担当は2年目になります。各校の先生方のご指導に、子供たちの多様性の尊重が感じられ、大変嬉しく思います。指導者が表現の枠を決めてしまうと、子供たちを無意識に誘導してしまいます。子供が自由な発想の中で、表現する楽しさを味わえるようにしてあげたいものです。
近年、特別支援学校でも各教科の指導を大切にしていますが、子供たちの足並みを揃えるということではありません。図画工作科や美術科は自由の尊重も重要な教科です。様々な材料・用具や表し方があり、そこから自分に合う方法を一つ見つけることができればよいのです。クラスメートが水彩絵の具を使っている中で、一人だけちぎり絵をしていてもよいのです。好きな表現ツールを見つけ、そこから発想や構想を広げていくようにしてあげてください。
今回の審査では、子供たちが造形活動に浸っている顔が目に浮かぶ作品を選んでいます。是非、御覧ください。

<絵画作品部門>

自画像~18歳の私~

最優秀賞 「自画像~18歳の私~」 栗田支援学校高等部3年

自分の顔に愛着をもって細かく捉え、表現している。左右の目が異なる表現なのはそれぞれを描いたときの時間や気持ちが異なっているからだろうか、もしかしたら鼻の点々は毛穴に気付いたのかもしれない、などと想像が膨らむ。周りの背景も意味があって何かを表現していることが感じられる。

最優秀賞 「レインボーブリッジ」 琴丘小学校

この作品を仕上げるのに、どのくらいの時間がかかったのだろうか。想像し難いほど丁寧に表現されていて、圧倒される。作者なりの物語を、この一枚の画用紙に閉じ込めた作品となっている。

レインボーブリッジの絵
絵画「おなかいっぱいのおばけ」

20周年記念賞 「おなかいっぱいのおばけ」 稲川支援学校高等部1年

スクリブル(なぐりがき)的な表現のよさやおもしろさを活かしている。くるくると造形遊び的に描いた上で、何に見えるかを考えて表現を進めたようだ。自然な流れでつくられた作品だと感じた。

特文連会長賞 「美しきりんごの木」 能代支援学校高等部2年

抽象的に対象を捉えていると感じられる。りんごの木を支える棒だろうか、そこに集中して気持ちを切らさないで描いている。外界から受けた印象を自分の表し方で表現している作品である。

絵画「美しきりんごの木」
絵画「竿燈とお友達」

美術部会長賞 「竿燈とお友達」 秋田大学附属特別支援学校 中学部2年

普段から、自分の思いで各色の水彩絵の具をパレットに入れて、筆を使っていろいろな形や色などをつくることを楽しんでいるようだ。水彩絵の具による表し方を身に付けており、のびのびとした表現ができるようになっている。

<自由作品部門>

「動物たちの秋」

最優秀賞 「動物たちの秋」 秋田きらり支援学校 高等部1年

登場している動物たちの形や色、そして質感などは作者の思いから生まれたものであり、独自の世界観をつくっている。背景は、一色ではなく様々な色を使い、その時々の気持ちが表現されている。自分にとって愛着があるものたちの世界を大切にしている作品である。

最優秀賞 「どぐうファミリーハウスへようこそ!」 能代支援学校 小学部4・5・6年 合同作品

色粘土を使いこなすのは大変だが、形だけではなく、色まで考えられている。土偶は資料を参考にしたのかもしれないが、その子らしい形が表れている。手の巧緻性の高まりを活用した作品である。

「どぐうファミリーハウスへようこそ!」
「じゃんぐるぽっけ」

20周年記念賞 「じゃんぐるぽっけ」 能代支援学校 小学部1・2年 合同作品

共同でつくりだす活動は大変だったろうと思う。意欲や集中力を切らさずにやり遂げたとき、充実感があったのではないか。象の着色に関しては、ついつい一色で塗りたいところだが、別の色を混ぜたり、手を使ったりして工夫している。

特文連会長賞 「もももも、モンスター!?」 ゆり支援学校 小学部4年 合同作品

モンスターの一つ一つにネーミングされている。何かに名前を付けるというのは、人間が世界を認知していく上で大切なことである。子供たちが自分の概念をつくっており、それを表現したいという気持ちの高まりがよみ取れた。

「もももも、モンスター!?」
「メンフクロウ」

美術部会長賞 「メンフクロウ」 稲川支援学校 高等部1年

最初に見たときから惹かれた作品である。特に薄さが際立っている。立体は扱いにくく、立たせるというのは大変なことだが、足と尻尾の三点で工夫して立たせている。完成までには、生徒と先生との様々な楽しいやり取りがあったことが想像できる。

2023年11月29日

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