第145号 きらりNet
2025年2月12日 第145号
秋田県立秋田きらり支援学校 地域支援部
交流及び共同学習について
同年代の友達と関わる機会が少ない本校の児童生徒にとって、将来の自立と社会参加に向けて、地域の中で社会の一員として生活することが望ましく、交流及び共同学習を通して多くの学びがあると考えます。本校では、学校間交流(小中学校、高等学校、視覚支援学校、聴覚支援学校他)、居住地校交流(児童生徒の居住地である地域)、地域の人々との交流(南ケ丘の住民、いぶきの里での展示販売など)を実施しています。
居住地校交流は、同年代の児童生徒との交流を通して、児童生徒の関わりや経験の幅を広げ、お互いに社会性や豊かな人間性を育むことをねらっています。今年度は、小中学部合わせて13名の児童生徒が直接・間接交流で延べ30回の居住地校交流を行いました。
本稿では、小学部2名の居住地校交流について紹介します。
文責:佐藤 昭子
初めての居住地校交流
小学部1年生
小学部1年のAさんは、S小学校の1年生と居住地校交流を2回行いました。1回目は、入学して学校生活に慣れてきた10月に、S小学校に直接赴いての交流。1年生4クラス全員の友達から拍手でお出迎えしてもらいました。自分に向けてたくさんの友達が一生懸命に挨拶や発表をしてくれたことが分かり、隣に座るお母さんと一緒に友達の姿や声をしっかり見聞きし、楽しむ様子が見られました。Aさん本人も、皆さんの前で自己紹介や感想発表を頑張りました。最後は全員でジャンボリミッキーを踊りました。普段は少人数で学習することが多いAさんですが、同い年の友達と活動する経験ができました。
交流を経て、外出時にS小学校の友達から声を掛けてもらうことが何度もあったそうです。いろいろな人と関わり、仲良くするのが大好きなAさん。1年生から交流を始めることで、地域に住む人や友達とのつながりができ、互いに理解し合い、社会性や人間性も豊かになると考えられます。来年度も居住地校交流を通じて、同じ地域に住む友達との関わりがさらに広がるよう、計画したいと考えています。
文責:目黒 敦子
3年目の居住地校交流
小学部3年生
小学部3年生のBさんは、1年生の時からK小学校と居住地校交流を実施しています。今年度は7月と11月の2回、直接交流をしました。幼稚園等に通っていなかったため、同じ年の友達と接する経験がなかったBさんにとって、貴重な機会となっています。一人学級で普段は1人で教科学習をしていることもあり、友達の色々な考えに触れたり、友達とのおしゃべりを楽しんだりして、集団で学ぶ楽しさを味わっています。個性豊かな友達の様子に、時にはびっくりしたり、戸惑ったりもしていますが、どれも経験を広げる良い機会となっています。K小学校の友達も心温かく迎えてくれ、同じ地域に住んでいるBさんのことを覚え、気軽に話しかけてくる友達も増えてきました。
文責:伊藤 咲子
専門監のつぶやき
障害理解学習を知っていますか?本校では、「身体の不自由な人との関わり方を考えよう~見て・聞いて・体験して~」と題し、要望に応じて障害理解授業を行 っています。今年度は小学校7校、中学校2校で実施しました。
内容は、20分間の講話+体験です。車いす体験やボッチャ、ユニバーサルデザインの道具の使用など、体験の内容は様々です。内容を決めるときは 、担当の先生 と相談し 、「何のために」「何を」「どのように」行うのか、学習のねらいを明確にすることを大切にしています。
授業後は、「急に触られるとびっくりすることが分かったので、優しく声を掛けようと思った」「車いすの操作が難しいと気付いた」「特別扱いするのではなく、まずは普通に接するのがいいと分かった」など、たくさんの感想が寄せられます。感じ方は人それぞれです。この授業は1時間だけですので、相手を思いやる心や互いを認め合う態度を学び続けるきっかけにしてほしいと考えています。
本稿で紹介した居住地校交流 も目的は同じです。自分の暮らす地域で互いを認め合い、共に生きていくために一緒に学ぶ機会を設けています。子どもたちは人と関わることが大好きです。交流及び共同学習、障害理解学習について関心をもっていただけるとうれしいです。
文責:藤原 恵理子