教育プラン
1 学校の現状と課題・学校を取り巻く将来の状況の予測
学校の現状と課題
1 本校の教育課程は、児童生徒の教育的ニーズに応じ、小・中学校及び高等学校に準ずる教科学習を主とする類型、知的障害特別支援学校の各教科等を合わせた指導を行う類型、自立活動を主とする類型の3つを実施している。また児童生徒の約1割が訪問教育の対象となっている。
2 教育的ニーズは多様であり、児童生徒によっては、指導内容や指導方法等、教育課程の弾力的な運用をしている。また、手術やリハビリのための入退院に伴う転出入も多い。そのため、一人一 人の状況・状態に合わせた対応と、本人の意思・希望を尊重し可能性を最大限に発揮させるための指導の充実を図っている。
3 約4割の児童生徒が何らかの医療的ケアを受けており、学校看護職員、医療療育センター等により対応している。年々医療的ケア対象の児童生徒の人数が増加し、ケア内容も多岐にわたっている。
4 開校から16年目を迎え、徐々に地域とのつながりができてきたが、新型コロナウイルス感染症の 拡大により、直接交流の機会が著しく減少した。今後は地域に根ざした学校を目指して新たな関係性や信頼関係を構築し、地域資源の活用と、居住地校交流を含めた交流活動の一層の充実を図っていきたい。
5 令和4年度末にゆり支援学校道川分教室が閉室し、令和5年度より本校職員によるあきた病院での訪問教育が開始された。本校は本県唯一の肢体不自由及び病弱者を対象とする特別支援学校であることから、全県の園・学校に対する効果的な情報発信が課題である。
学校を取り巻く将来の状況の予測
1 感染症や武力紛争、環境問題等、地球規模で先の予想の困難な時代である。その中で社会のニーズに即し、障害のある児童生徒の自立と社会参加の力を育成していかなければならない。
2 児童生徒の実態の多様化に伴う、様々な教育的ニーズへの対応、専門性の向上、医療・福祉との連携が求められる。特に多様化する病弱児童生徒への対応が課題である。
3 本県唯一の肢体不自由及び病弱者を対象とする特別支援学校として、これまで以上にセンター的機能の体制づくりやネットワークの充実が求められる。そのためには、ICT等を活用した新たな支援の方法を工夫する必要がある。
2 目指す方向性・学校像や児童生徒の姿
教育目標
肢体不自由及び病弱者である児童生徒の多様な教育的ニーズに応じて、医療療育機関と連携した安全な教育環境のもとで、自立と社会参加に必要な力を育成する。
目指す児童生徒像
1 自ら学ぶ
2 豊かに表す
3 健やかに生きる
4 手をつなぐ
教育方針
児童生徒の人権を尊重し、教育目標の実現に向けて、次の事項に取り組む。
1 明るい学校
児童生徒の尊厳を守り、保護者、関係機関と協働して豊かな生活を築く。
2 確かな教育
児童生徒の多様な教育的ニーズに基づき、根拠の明確な教育課程を編成し、学部間の連携及び卒業後を見据えた長期的な視点を基盤に、主体性、自主性を育む教育を展開する。
3 丁寧な指導
児童生徒の心身の健康状態を的確に把握し、個々に応じた効果的な指導を行う。
3 具体的な目標・取組・推進指標
「健やかに生きる」 ~安全・安心な教育環境の整備~
1 日常的な医療的ケアの充実
担任、学校看護職員は、児童生徒が安心して学習に臨めるよう、日常的に保護者及び主治医との情報共有を確実に行い、体調管理に努める。
2 危機管理体制の整備
医療療育センターを初めとした医療関係機関との連携を密に行い、感染症対策や医療的ケア児の緊急時対応等、安全・安心な教育環境を整備する。
3 防災体制の構築
防災教育年間計画に基づく実践的な防災指導・避難訓練を実施し、高い防災意識を醸成する。また、災害時の本校児童生徒の避難・家庭への受け渡しマニュアルを作成し、周知する。
「自ら学ぶ」「豊かに表す」 ~指導力の向上~
1 学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成
- 学習指導要領の趣旨や教育課程編成に係る基本事項、及び児童生徒の実態に即したカリキュラム・マネジメントを全職員で実施し、検証・改善を行う。
- 各教科及び各教科等を合わせた指導が有機的に関連し合う指導計画を作成し実践する。
2 指導力の向上
- 児童生徒の「目指す姿」や「重点目標」を共通理解し、個別の指導計画に基づいた具体的な「めあて」や「評価の視点」を明示した授業を実践する。
- 自己選択・自己決定・自己評価の機会を設定し、課題解決のための思考力、判断力、表現力を身に付ける学習活動を実践する。
- 校内研修・研究の充実、校内外の人材の活用等により、日々の授業を改善する。
3 キャリア教育の充実
- 保護者との連携を図り、小学部から高等部までのライフステージに合わせた生き方指導や進路指導、発達段階や実態及び家庭環境に応じたキャリア教育を行う。
- 生徒の実態に応じて、高校や大学、福祉関係機関、企業、官公庁等と連携した情報提供及び体験入学や就労体験等を行う。
- 保護者及び職員を対象とした生き方指導や進路指導に係る研修会を実施する。
4 自立活動の充実
- あきた総合支援エリア専門家(医療療育センター理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、視覚支援学校視能訓練士等)と計画的に連携し、助言により自立活動の授業を改善する。
- 適切な姿勢や運動・動作、学習環境等を検討し整備する。
- ICTを積極的に活用し、学習意欲やコミュニケーション能力の向上を図る。
5 生涯にわたる豊かな生活につながる学び
- 児童生徒の実態や興味・関心に応じ、日常的に生活を豊かにするための経験を重ね、多様な人や環境と関わる機会を利用してコミュニケーションの力を育む。
- 学部を超えた児童生徒間の交流を図るとともに、外部との交流の機会を設定する。
「手をつなぐ」 ~センター的機能の拡充と外部連携の進展~
1 センター的機能の拡充
- 県内の特別支援学校、肢体不自由及び病弱・身体虚弱特別支援学級のニーズに応じた支援を行うとともに、研修会や通信、障害別支援ガイド等で情報を効果的に発信する。
- 秋田県立医療療育センターと連携し、肢体不自由及び病弱教育に携わる関係機関とのネットワークによる継続した指導・支援体制を構築する。
- 県内の園・学校における病弱教育対象者に対して、病弱教育サポートセンターきらり☆による支援の充実を図る。
2 医療療育センター及び外部との連携、交流及び共同学習の充実と深化
- 医療療育センターの、発達障害者支援センター(ふきのとう秋田)や医療的ケア児支援センター(コラソン)との情報共有や連携を図る。
- 「地域に開かれた学校」を目指し、学校の教育活動や各種交流活動、地域資源を活用した教育活動等について、その様子を外部に積極的に発信する。
- かがやきの丘(視覚・聴覚支援学校、医療療育センター、南ケ丘内施設、町内会等)や交流校との交流活動について、感染予防策を講じながら工夫して実施する。
- 関係機関等(保護者・医療・療育・福祉・放課後等デイサービス事業所等)との連携を密にし、個別の教育支援計画を活用しながら切れ目ない支援体制の充実を図る。