第149号 きらりNet
2025年9月25日
秋田県立秋田きらり支援学校 地域支援部 発行
本文から抜粋して紹介します。詳細は「きらりNet第149号」よりご覧ください。
子どもの「強み」を生かす自立活動
自立活動は、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するための学習です。 「困難」には、難しい・厳しい・困り感・苦手・つまずき等の意味が含まれますが、それらに「主体的に」向かうためには、指導内容や学習活動の工夫が大事になります。特別支援学校学習指導要領自立活動編の中では、「発達の進んでいる側面をさらに伸ばすことによって遅れている側面の発達を促す」と示されています。得意や長所はもちろんのこと、興味関心・好き・経験したこと・できつつあること等も、子ども自身の中の「発達の進んでいる側面」と言えます。それらを本人の「強み」と捉え、指導内容や指導方法に生かすことが、子どものモチベーションにつながります。
本稿では、こうした子どもの「強み」を生かすことで、子どもたちが生き生きと学んでいる肢体不自由特別支援学級の実践を紹介します。
✨大館市立成章小学校の実践 ~『お仕事引き受け隊』~✨
寄稿:担任 武田幸子先生
■実践の様子
募集が始まると、教室前のポストを毎日確かめる姿が見られました。
依頼が入っていると喜んで開け、「いつまで、どんなことをしてほしいのか」を確かめました。
■Aさん・Bさんの成長
- 相手に喜んでもらうことで、認められたと自己肯定感が高くなったと感じています。
- 相手とのやり取りが増えてコミュニケーション力が高まってきたと思います。大きな声できちんと挨拶を交わしています。
- 製作する機会が増えて、はさみの使い方に慣れ、折り紙を折ったり切ったりする作業が少しずつ上手になってきました。
専門監のつぶやき
ここで紹介した依頼は、実践のほんの一部です。他にも、玄関前の七夕飾り、生活科の教室や保健室の壁面飾り、誕生日のプレゼント飾りなど、たくさんのお仕事依頼があり、成果物が校内のあちこちに掲示されていました。 「人のために頑張れる」という2人の強みを生かして、コミュニケーションや人と関わる力、手先の巧緻性の向上をねらった授業計画です。依頼された仕事ですので、丁寧に仕上げる必要性が生じます。読み聞かせの仕事や、できた物を届けるときには伝える力が必要になります。苦労したこともあったと思いますが、それを上回る「やりたい気持ち」や ワクワク感が感じられました。お仕事ポストをのぞき込む2人の顔が目に浮かびます。
武田幸子先生、お忙しい中、素晴らしい実践を紹介していただきありがとうございました。
文責:藤原恵理子